書評【残念な相続】遺産分割、相続税、遺言についてお話します。

今回は、こちらの本「残念な相続」についてお話します。

タイトルの通り、「残念な相続」のエピソードを交えながら、面白く解説がされています。

こちらの本の3つのポイント
遺産分割、相続税、遺言についてお話します。

最後まで見ていただければ、相続の概略がわかりますので、お付き合いください。

1つ目は、遺産分割です。
事例では、父親の遺産を長男と次男が二人で遺産分割するという話になっています。
父親の遺産には、300万円の借金がありました。
次男は長男に、逆らえないという関係で、次男はギャンブルグセがあって、多額の借金をしているというところです。
次男に300万円の借金をすべて、相続させるという分割協議をしようとします。
次男が相続したあとに自己破産をするという目論むわけです。

そこに税理士さんが介入してきます。
そして自己破産をしても、借金はチャラになるわけではありません。
次男が自己破産しても、法定相続分の借金は各相続人が支払わなければいけません。

長男が借金を次男の分も立て替えて支払うということで解決という話です。

遺産分割についてのポイントです
・遺産分割の話し合いについては、配偶者や子供ではなく、当事者がする。
混乱するので、当事者以外は参加させないほうが良いということです。
・認知症、行方不明の相続人がいる場合は、成年後見にの制度、不在者財産管理人の選任が必要です。
・分割協議のやり直しは可能だが、ダブル課税の可能性がある

2つ目は、相続税についてです。
・相続税には基礎控除額があります。
3000万円+600万円✕法定相続人の数
仮に、相続人が妻1人と子供2人の場合は法定相続人は3人です。
3000万円+600万円✕3人=4800万円まで非課税ということになります。
ちなみに法定相続人は代襲相続する子供が2人いる場合でも1人でカウントします。
放棄した相続人がいたとしても法定相続人1人にカウントします。
相続税が課税された人の割合というのは全体の8.5%ということですので一般的な相続財産であれば非課税ということになります。

・配偶者の相続税は優遇される
配偶者は1億6000万円あるいは配偶者の法定相続分(子と配偶者であれば2分の1)までは非課税となります。
但し、つぎの相続のときには当然配偶者がいないので配偶者控除は使えません。
なので最初の相続で配偶者控除を使いつつある程度子にも相続させる必要があるということになります。

・相続税は、財産が増えると税率が上がる累進課税である
法定相続分に応ずる取得金額
1000万円以下10%
仮に1000万円の取得で100万円
3000万円以下15%、控除額50万円の課税
仮に3000万円の取得で400万円の課税
5000万円以下20%、控除額200万円
仮に5000万円の取得で800万円の課税

6億円を超えると最大税率の55%
控除額が7200万円となります。

3つ目は、遺言についてです。
事例では、事実上の夫婦ですが、婚姻関係がない内縁の妻がいます。
そこで、内縁の夫が突然死してしまう。
葬儀に内縁の夫の弟が登場します。
弟が「すべて私が相続するから、今住んでいる家は明け渡して出ていってくれ」というわけです。

そこで税理士さんに相談するという流れです。
「遺言がなければ内縁の妻は相続人になれません。遺言書を探しましょう」という話になります。
遺言は他の相続人に破棄される可能性があるので、簡単に探せない場所に隠すことがあるらしいです。

この事例では、二人の思い出の絵の裏側に隠してあるのを発見します。
無事に内縁の妻は、すべての財産を相続できたという結末です。

遺言についてのポイントです。
・遺言には、主に公正証書遺言と自筆証書遺言があります。
・公正証書遺言は、トラブルの可能性が低いですが作成費用が高いです
・自筆証書遺言は、安価で作成することができますが作成方法が法律に適合していないと無効になる可能性があります。
・自筆証書遺言は、全文自筆ですが、法改正で2019年以降から、財産目録についてはパソコンでもOKということになってます。
・遺言は、遺留分のない兄弟姉妹を排除するのに有効です。
・遺言がある場合とない場合は「天国と地獄」ほど変わってしまうということになります。

こちらの「残念な相続」の中から
遺産分割、相続税、遺言についてお話をしました。

参考にしていただければ幸いです。