土地家屋調査士試験の短期合格者は○○だ!

私は、平成10年に土地家屋調査士試験に合格しました。
当時は試験時間も2時間で、択一式も15問で、民法も出題範囲外でした。

今とはだいぶ状況も違いますので、試験そのもののアドバイスはできないんですけど、
ただ土地家屋調査士試験のマインド(考え方)についてはお話できると思います。

今回「土地家屋調査士試験の短期合格者はクソだ!」と過激なタイトルを付けましたが、
最後まで見ていただければその意味がわかります。

それでは、私の受験時代を振り返って、お話をいたします。

私は、最終的には4度試験に不合格になって、5度目の試験でやっと合格することができました。
その当時の合格者の平均受験回数というデータでは、3.5回の受験で合格というデータがありましたので、
土地家屋調査士試験では苦労組のほうということになります。

1回目の受験のときは、完全に勉強量が足りなくてお試し受験みたいな感じで橋にも棒にもかからないという感じです。

2回目の受験のときは、合格してもおかしくはないくらい勉強はしましたが、残念ながら結果は不合格

3回目の受験のときには、東京法経学院の模擬試験では常にAランクで完全に合格圏内でした。
ところが本試験のとき、択一、土地と解いて、残りの建物に取り掛かり、申請書を書いて残りは図面というところで
時計を見たら、残り10分くらいでした。
残りの量に比べて時間ギリギリだと思った途端に、動揺して作図している手が震えだしました。
落ち着いて、やっていればギリギリ時間内に回答できたと思います。
今のメンタルであれば、そんなに動揺することはなかったと思うんですけど、その当時のメンタルではできなかった。

ここでの反省は、模擬試験や自宅で本番を想定して問題を解くときに、イメージトレーニングをするということでした。
これはスポーツ選手などがやっている方法です。
模擬試験の前に、自宅から本番の会場までの道筋をイメージする。
そして本番の会場をイメージして、本番さながらの状態を作って、問題を解く練習をするということでした。

これを繰り返すことで本番でも、落ち着いて試験を受けられます。

4回目の受験のときには、模擬試験では全国1位を連発するようになりました。
受験学校では、一躍有名人になりました。
周りからも「また杉山さんが1位か」なんて言われるようになります。
受験学校では「あなたが、あの杉山さんですか」なんて知らない人から声をかけられるようになります。

実はこれが結構な落とし穴でした。

いつの間にか、本試験に合格するための勉強から、模擬試験でいい成績をとる勉強に変わっていました。

これが少し分かりづらいかもしれません。
本試験に合格するための勉強というのは、
あくまで、過去問ベース、条文や先例の読み込み、基本から外れないことが重要なのに対して

模擬試験というのは、
過去問ベースとは言えず、
問題作成者の条文に沿わない言い回しであったり、
基本から外れて本試験出題の可能性が低い問題が作られる
ということもあります。

今はわかりませんが、私の当時は、受験の世界では
模試試験で全国1位は、本試験で落ちるというジンクスがありました。
自分がその立場になってみて、初めてその意味がわかった。

模擬試験のための勉強をするのではなく、本試験のための勉強をしよう

受験者が行うのは、
模擬試験対策ではない。本試験対策である。

そして、5回目の受験
模擬試験の順位は、まったく気にせずに、基本的な勉強に終止した。
本試験当日もリラックスしていました。
リラックスしすぎて、朝起きるのが遅れてしまい、ちょっと焦りました(^^)

できない問題もあったけど、自分の実力を発揮できた満足感はありましたね。
合否のラインは、ギリギリだろうと感じました。

結果は、合格することができました。
合格発表のボードに自分の番号を見つけたときには、天にも登る気分でした。
ボードの前で写真を撮りました。

5度目の受験で、合格を手に入れるまでには、本当に腐った時期もありました。
正直、もう受験はやめてしまおうと思ったこともありました。

でも、やめてしまったら、その瞬間に全ては終わりです。
合格を手に入れることはありません。

経験者から言わせてもらうと、
私のように苦労して合格した人には、それなりのリターンがあります。

短期で合格されている人と圧倒的に違うのは、知識の深さと記憶の残存です。

条文等、繰り返し読み込んでる数の桁が違います。
嫌になるくらい繰り返し読み込んでますから、忘れません。
私も合格してから、20年以上経ってますけど、自分でも驚く、くらい勉強した内容は記憶に残ってます。

また学びの深さが違います。
私たちが仕事でご依頼をいただく、
司法書士さん、建築業者さん、不動産業者さんも、
それなりに知識と経験を持ってますので、知識が浅いと見限られてしまうということはあります。

私が、開業してすぐに事務所を軌道に乗せられたのも、お客様より日々いただく質問に対して、それなりの回答ができるからだと思います。

ここまでお話をしてきて短期合格者が悪いということではありません。
短期で合格される方は、IQが高くて、時間の使い方が上手い、試験のための勉強に長けている。
ということだと思います。

短期の合格者で、合格後も勤勉な人は、神のレベルだと思う

野球のイチロー選手のように、天才に死ぬほど練習されたら、凡人がかなうはずがない。

ただし短期合格者で、合格してから勉強もしないし、本も読まないし、情報発信もしない、毎日酒飲んでる。
そういう人は本当に残念だなと思います。

短期合格者の人って、どうしても勉強の深さも浅いですし、
条文や先例を読み込んでる数も少ないので、1年も経てば忘れるんです。

そういう知識の浅さは、話をすればすぐに分かります。
お客様にも、伝わりますので合格したあとも努力が必要だと思います。

一方、私のようになかなか試験に合格できないという受験生。
もう辞めてしまおうかと悩むこともあると思います。

でも、その努力はいつか自分に戻ってきます。

あと1年の努力なんて人生100年であれば、たった1%の努力です。

最後まで、諦めずにやり抜きましょう。