土地家屋調査士が解説!失敗しない土地選びのポイントと注意点

皆さんは、不動産を購入するときにどんな基準で選んでいるでしょうか?

日当たりでしょうか、駅からの距離でしょうか、それとも建物の間取りでしょうか。

どれも、住む上で大切なことだと思います。

土地家屋調査士は、日頃沢山の不動産を見ています。

土地家屋調査士ならでは独自の視点で、他では聞けない土地選びの方法をお話し出来ると思います。

今回の動画を観ていただければ、土地選びで注意すること、選ぶ土地のデメリットがわかります。ぜひ最後までご覧ください。

 

それでは、購入しないほうが良い不動産を8つの項目で話してきます。

1.私道を避けたほうが良い理由

2.地盤の緩い土地

3.大雨で水害の起こる土地

4.極端に狭い土地

5.他人の土地を利用するのが前提になっている

6.家の前まで車の乗り入れができない

7.土壌汚染の可能性がある土地

8.嫌悪施設が近隣にある

 

 

 

 

1.私道を避けたほうが良い理由

 

私道とは、公道以外の道路のことです。

宅地分譲をした近隣の所有者で、共有関係になっていることが多いです。

私道を長年所有している間に様々な問題が生じてきます。

例えば、私道の老朽化、下水・上水道の工事、建築制限や測量の問題について見ていきます。

それでは、私道の問題について、詳しく話していきましょう。

 

①  老朽化した道路の修繕の問題

道路や構造物が、10年、20年と利用している間に老朽化して修繕が必要になります。

自動車の乗り入れで、U字側溝が破損する。

道路のアスファルトが、路盤の劣化、地盤の沈下などで凹凸ができて水が貯まるようになる。

水道管や下水管が破損して修理が必要になることもあるでしょう。

私道で、上下水の管理を市町村が行っていることもありますが、多くの場合は近隣の所有者で自主管理をしています。

様々な理由で、道路の修繕が必要になります。

その度に、私道の所有者全員と修繕の費用について話し合いをする必要があります。

公道と違い、私道の場合は、修繕については原則自己管理です。

共有者との話し合いが必要になる煩わしさがあるでしょう。

 

 

②  下水、上水道の工事をするのに私道共有者の承諾が必要

建物を新築するためには、私道にある下水・上水道の本管からの引き込み工事をします。

私道のアスファルトを剥がして掘削工事をするには、私道共有者の承諾が必要になります。

 

単に通行をするのための承諾は不要ですが、掘削して工事を行うためには、勝手に行うことは出来ません。

問題になるのは、土地を売却するときです。

土地の購入者が、不動産業者で建売分譲など建物を建てることを前提にしている場合には当然に売買の条件として私道共有者の「掘削承諾書」を取得するように求められます。

 

したがって、私道共有者の掘削承諾書を揃えなければ、土地が売却できないということになります。

 

 

 

 

③  4メートルが確保できていない場合に建築ができない可能性がある

建物を建築するためには、幅員4メートル以上の道路に2メートル以上、接続していなければならない。建築基準法に規定されています。

 

位置指定道路、開発道路などで図面には、4メートルと書かれてる。

しかし、現地で境界杭を測量すると4メートル確保できていないということがあります。

 

道路が4メートルを確保できているのか、できていないのかは建物の建築に影響する大きな問題なのです。

建築の確認申請をすると検査員が現地確認をメジャーで測定して幅員4メートルが取れなければ建築の許可が下りない可能性もあります。

事前に測量をして、4メートル確保できるように調整をする必要があります。

場合によっては、道路の反対側の所有者と協議をして、内容を報告書にして売買当事者に提出することもあります。

私道で図面上は、幅員4メートルであっても現地で4メートルあるとは限らない。

そして4メートルなけば建築ができないということになるのです。

 

 

④  測量で私道の共有者全員の境界確認が必要

土地の売却するに当たっては、境界の確定測量が必要になるケースが多いです。

確定測量を行うには、隣接する原則として土地所有者・共有者全員に土地の境界確認をして確認書に署名捺印をいただくことになります。

 

しかし、前の道路が私道の場合に問題になることがあります。

私道の共有者が、5人くらいで済むこともありますが、中には20人、30人になることもあるでしょう。

 

当然、共有者が多いほど、作業が大変になります。

また、共有者が多い場合、連絡がつかない人や、遠くに住んでいる人、協力しない人、そしてすでに亡くなっていて手続きが終わっていない人もいるでしょう。

 

人が増えるほど意見をまとめるのは難しくなるでしょう。

 

 

市町村に寄付することが、可能でであれば寄付採納をして私道から公道にしたほうが良いでしょう。

市町村によって、条件が厳しいところもあります。

公道から公道に通り抜けていること行き止まりの道路では寄付を受けない市町村もあります。

また、現地で幅員が4メートル以上確保されている。

測量をして分筆がされている。

地目が公衆用道路になっている。

などの条件が厳しい市町村もあるし、あまり条件が緩やかな市町村もあります。

市役所で、寄付の条件を確認されてはいかがでしょう。

 

 

2.地盤の緩い土地

宅地では、地盤の安定性が不可欠です。

なぜかというと、宅地は地盤そのものであり、安定した宅地がなければ建物の品質が確保できないからです。

地域によって地盤の強い、弱いという差がかなりあります。

地盤の弱い地域では、建物の傾きや地震が起きたときの被害も心配でしょう。

一般の人が、地盤の良し悪しを判断する方法はあるのでしょうか。

市役所やインターネットで、地盤のデータを確認することもできます。

また、近隣の人に世間話をしながら聞き取りをするのも有効な手段でしょう。

 

さらに、現地で周囲の状況を観察してみましょう。

建物を見ても、見て分かるほど建物が傾いていることは殆どないでしょう。

仮に隣の建物と庇が接触しているなど見てわかるほど傾いていたら、既に住める状態ではありません。

下げ振りなどを使って計測すれば、ある程度の判断はできますが他人の建物を勝手に測定するわけにも行かないでしょう。

しかし、ブロック塀などの構造物を見て判断が出来ることもあります。

地盤の悪いところで建物を建築する場合には、地盤の改良をする、基礎の下に杭を打つと言った措置をしています。

建物の場合は、見た目に分かるほど傾きが出ることは少ないです。

しかし、僅かな傾きでも、住む人にとってはめまいや頭痛と言った被害があります。

ブロック塀などの工作物の場合は、地盤が悪くても施工方法を変える配慮は殆どの場合しません。ブロック塀などの構造物を見ると傾きが如実に現れます。

また、道路のアスファルトや側溝などの構造物に亀裂が入っているか確認します。

地盤が沈下している場合には、道路がかまぼこ状になっていることがあります。

道路の真ん中が膨らんでいて、端の低くなっている沈んでいる状態です。

かまぼこ状になる原因は、道路の真ん中に下水管が通っていて地盤が沈下しても下水の位置が保たれるように施工しているからです。

 

土地の地盤については、地盤のデータを確認、近隣の人への聞き取り、現地の状況を観察することである程度の確認をすることができます。

 

 

 

3.大雨で水害の起こる土地

水が溜まりやすい土地を見受けることがあります。

周囲をよく観察すると緩やかな下り坂になっていて、雨が降ると水が集中するすり鉢地形になっている地域があります。

現地は、晴れているのにブロック塀が湿っている。

ジメジメと湿気の多い感じが常に漂っています。

出入り口付近を見ると、土のうが用意されていることもあるでしょう。

 

水害を疑う土地の購入を検討する場合には、大雨が降った日に実際に観察してみるのが良いですが、そう都合よく雨が降ることも少ないと思います。

市役所に行くと水害マップが用意されていることがあります。今はインターネットで水害マップを見れることが多いです。

また、近隣の人に聞き込みをするのも有効です。近隣の人に声をかけてお話をすれば情報を得られるでしょう。

水害が疑わしい土地については、慎重に購入を判断したほうが良いでしょう。

 

 

4.極端に狭い土地

狭い土地が良くない理由を3つ挙げます。

①  土地の販売単位。

一般的な土地の販売の単位は、地域による違いもありますがおおよそ100㎡です。

土地の値段が高い地域では、100㎡よりも狭くなり、土地の値段が安い地域では販売単位は広くなります。

広すぎる土地というのは、販売価格が高くなりすぎて所得の高い人しか買えないので分筆して小さくする必要があります。

逆に、狭すぎる土地は後に挙げる良い間取りの家が建たない、住宅ローンが受けられないなどの制限を受けることもあるのです。

 

地域にもよりますが、60㎡未満となると売れ筋から外れていくことになるでしょう。

 

②  良い間取りの家ができない。

住みやすい良い間取りの家を建てるためには、土地の幅が重要な要素となります。

建物の幅は3間、5.45メートル以上が理想的です。

土地の境界から建物を離すことを考慮すると、土地の幅は6.7メートル以上となります。

土地の幅が、4.5メートル程度の宅地分譲地を見受けます。

もちろん、狭小でも建物は建てられますが、住みやすい理想の間取りとは言い難いでしょう。

 

また、隣の建物との間が人の通れないほど接近しているのを見かけます。

しかし、民法234条で、建物の境界からの距離を制限しています。

建物の外壁や土台から50cm以上開けなければなりません。

境界からの距離に違反して建築工事が行われた場合には、隣地の所有者は,建築の中止または変更を請求できることになっています。

すでに工事が完了している場合には、損害賠償の請求ということになるでしょう。

ただし、境界からの距離については、地域の慣習を優先するとされています。

したがって、繁華街など建物が接近して建ち並ぶ地域での適用はされないこととされています。

 

敷地の幅は、住みやすい間取りの設計、隣との境界からの距離を確保するために重要な要素となります。

極端に、幅の狭い土地というのは避けたほうが良いでしょう。

 

③  住宅ローン融資が受けられない。

銀行によって融資の下限というのがあります。

住宅ローンは、比較的低い金利で35年程度の長期間の借り入れが可能であり、住宅ローン控除の税務上の優遇を受けることもできます。

低金利で長期間の融資が可能な理由としては、通常の融資よりも返済が滞る可能性が低いことが考えられます。

かなり優遇されている住宅ローンですが、土地の面積について下限が設けられています。

銀行によって、下限は50㎡また40㎡あるいは30㎡と違いがります。

土地の面積が50㎡未満になると借り入れができない銀行もあります。

宅地分譲については、狭小住宅でも50㎡を確保できるように分譲されることが殆どでしょう。

 

まとめると、極端に狭い土地は、良い間取りの家が建てられない、住宅ローン融資が受けられない、そして販売単位から外れる可能性があるため、購入を検討する際には注意が必要です。

適切な土地の選び方について十分に検討し、長期的な住み心地や資産価値を考えることが大切です。

 

 

 

5.他人の土地を利用するのが前提になっている

 

隣の土地を利用する前提がある部分を注意深く見てください。

路地状の敷地では、隣の土地を利用することが前提となるケースがよくあります。

例えば、自分の敷地内の駐車場に車を入れるために、隣地へタイヤを乗り入れることが前提となっている場合があります。

これは、双方が塀などを作らないことを前提とした利用形態です。

 

宅地分譲が行われた当初は、このような形態でもトラブルは起こりにくいと思われます。

しかしながら、年数が経ち、分譲した当初と状況が変わることもあります。

例えば、売却が行われ、所有者が変わる可能性があります。

また、隣人とずっと友好的な関係でいられるとは限りません。

高齢者になると、お互いに自動車を持っているわけではないこともあります。

自動車を持っていない人にとっては、自分の敷地を使って車が乗り入れられている様子を見ると、不愉快に感じることもあるでしょう。

 

境界線上に塀を作らない場合でも、プランターなどが置かれていることがあります。

土地利用に関しては、日常的な用事を自分の敷地内だけで済ませられる状況が理想的だと言えます。

 

 

 

 

6.家の前まで車の乗り入れができない

 

家の前まで車が乗り入れできない状況は、広い通りから車が通れない狭い道路があるために起こります。

このため、近隣の月極駐車場を借りたとしても、自宅への荷物の積み下ろしや雨の日の人の乗り降りなど、家の前まで車が来られないのは非常に不便です。

 

現在は、車を所有していない人も多いかもしれませんが、建築工事など車が入れない場所では、クレーン車を使った効率的な作業ができません。

また、建築資材なども、車が入れなければ手で運ばなければならない状況になります。

効率的な作業ができないために、人件費が高くなり、建築にかかるコストが通常よりも高くなるでしょう。

 

理想的には、広い幹線道路から家まで行く道は、車がすれ違える幅5メートル程度の道路が望ましいです。

少なくとも、車1台が家の前まで乗り入れできる状況が望ましいと思います。

 

 

7.土壌汚染の可能性がある土地

 

土壌汚染に関する不動産の購入に注意を払うことは非常に重要です。

土壌汚染のある土地は、健康被害や環境問題を引き起こす可能性があります。

また、将来土地を売却する際に、土壌汚染が判明すれば取引に支障をきたすことになります。

 

調査方法としては、まず土地の利用履歴を調査することになります。

古い地図や航空写真、不動産登記から以前の利用状況を確認します。

さらに、地元の人に土地が何に利用されていたか聞き取りを行うことも有効な手段と言えるでしょう。

工場やガソリンスタンドなど汚染の原因となる施設がかつて存在した場合は、専門業者に依頼して土壌サンプルの分析をしてもらう必要があります。

また、土地や周辺環境を観察し、異臭や変色などの不審な症状がないか確認することも必要です。

 

土壌汚染に関する不動産の購入はリスクが伴いますが、

十分な調査と対策を行うことで、安全な土地の取得が可能です。

土壌汚染の調査方法や注意点を理解し、適切な判断と対応を行いましょう。

 

 

 

 

8.嫌悪施設が近隣にある

 

不動産を購入する際に、気をつけたい周辺の嫌悪施設について話していきます。

嫌悪施設について、知っておくことで後悔しない不動産選びができるはずです。

 

不動産を購入する際には、物件の立地や価格だけでなく、周辺環境も重要なポイントです。特に、嫌悪施設が近くにある場合、生活に影響が出ることもあります。

さらに、将来的に不動産の価値が下がるリスクもあるでしょう。

 

では、一般的に嫌悪施設とされるものはどのようなものでしょうか?

 

工場・工業地帯、高架道路・高速道路

鉄道の線路、ゴミ処理施設・リサイクル施設

ガソリンスタンド・車関連施設、墓地・火葬場

救急病院・老人ホーム、風俗施設・ゲームセンター

バー・クラブ・カラオケボックス。動物園・水族館、

事故物件の隣家、廃屋、空き家、

ゴミ屋敷、騒音を出す家

動物を多頭飼している家

反社会勢力の事務所

などが挙げられます。

 

これらの施設が近くにある場合、騒音やにおい、交通量の増加などの影響があることが一般的です。

 

 

では、具体的に不動産購入時にどのようにチェックすれば良いのでしょうか?

ポイントをお伝えします。

 

まずは、地図で確認します。

物件周辺の地図を確認し、上記の嫌悪施設が近くにないかチェックしましょう。

つぎに、実際に現地調査してみましょう。

地図だけでなく、実際に現地を訪れて確認することも重要です。

特に、騒音やにおいなどは現地に行ってみないと分からないことが多いです。

時間帯や曜日を変えて、現地を確認することも必要です。

 

 

 

購入を避けたほうが良い土地についてお話をしてきました。

もちろん、デメリットを理解した上で納得できる価格で購入できるのであれば良いと思いますので、今回の話を参考にしていただければ幸いです。