もし土地家屋調査士が西野亮廣の「夢と金」を読んだら

今回は、「もし土地家屋調査士が西野亮廣の「夢と金」を読んだら」というタイトルです。

昔、流行った「もしドラ」「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」のタイトルパクリです。

土地家屋調査士の仕事と「夢と金」の本の内容を交えながらお話をして行きます。

 

今回の動画を見ていただければ、「夢と金」の本の内容と土地家屋調査士の仕事の両方が学べます。

ぜひ、最後までご覧ください。

 

それでは、今回お話をする内容です。

1.歴史の大敗から学ぶ「ハイスペック」と「オーバースペック」

2.【機能検索】から【人検索】へ

3.応援シロの計算式

 

 

 

 

1.歴史の大敗から学ぶ「ハイスペック」と「オーバースペック」

満足ラインを超えた技術(パフォーマンス)を「オーバースペック」と呼びます。

『オーバースペック』は自己満足であり、お客さんの満足度に直接影響を与えないと著者は主張しています。

 

もうとっくにお客さんの「満足ライン」を超えているのに、職人は(日本人は)自分の限りある資源である時間とお金を「お客さんが判断できない技術の向上」に投資してしまうのです。

 

日本の職人の歴史的大敗と言えば「携帯電話」です。

ガラケーの晩年。日本の携帯電話メーカーがどんな競争をしていたでしょうか。

「軽さ」を競っていたのです。

各メーカーは、「ウチの新機種は〇〇グラム」と1グラムの重さを削る戦いをしていました。

ところが、お客さんはメーカーがしのぎを削る軽い携帯電話に平気で、300グラムくらいの「ネコのフサフサの尻尾のストラップ」とか付けていました。

中には、携帯電話の本体よりも遥かに重い「ハイビスカスのジャラジャラ」してるやつを付けてる人もいた。

携帯電話は、ある程度軽くてコンパクトであればそれで良いというお客さん。

それに対してメーカーは、軽くすることにしのぎを削るというミスマッチが起こっていました。

60点を80点に上げる努力は、必要です。

しかし、97点を98点するには、膨大な時間とコストが掛かる。

しかも、お客さんは97点と98点の違いはわからないし、98点を求めているわけではないでしょう。

 

オーバースペックに資源を投資し続ける日本の全ての携帯電話メーカーをまったく軽くもない「iPhone」が、たったの1機種で駆逐(くちく)しました。

味や便利さやパフォーマンスを追求することは素晴らしい作り手としては、常にそうすべきです。

しかし同時に、「オーバースペック」が職人の矜持(きょうじ)や自己満足であり、社会的には無駄骨になる可能性を多分に秘めています。

 

 

この話を土地家屋調査士の業務に置き換えるならば、どこまでがハイスペックでどこからがオーバースペックになるのだろうということになるでしょう。

前提としては、土地家屋調査士の仕事はミスが許されない。

測量でも高い精度が要求されるということになります。

しかしながら、納期もあり予算もありますから、いくらでも時間とコストをかけられわけではないのです。

 

まず、測量や申請書の作成については、ミスが許されない。

測量については、対辺の測定をする。パソコン操作でミスがないかなど何重にもチェックをします。

測量での失敗は許されないので、なかなかコストを削減しづらいところです。

 

 

しかしながら、測量という技術的な仕事では、過剰なこだわりを持つ人もいます。

文字の大きさやフォントに異常にこだわる。必要な範囲を大きく超えて広範囲な測量をする人もいます。

 

仕事の正確さを担保しながら、無駄を省いて効率よく行うことが大切でしょう。

 

 

 

2.【機能検索】から【人検索】へ

著者は、機能ではなく人で売れと言っています。

自分の商品を高く買ってもらうためには、まずは自分の商品に高い値がつけられない仕組みを知ることが重要です。

これからの時代は「機能」には値段の差がつかなくなっています。

ラーメン屋さんで言えば、今の時代はどこのお店でも美味しいラーメンが食べられます。

ラーメンが美味しいという機能には、差がつかなくなっているのです。

では、何を基準に商品を選ぶかといえば、その答えの一つが「人」です。

 

例えば、「ラーメン店A」よりも、「ラーメン店B」よりも、「ラーメン店C」よりも、「いつもお世話になっている山田さんのラーメン屋さん」が選ばれるようになります。

 

「美味しさ」も「値段」も大体同じであれば、「どうせお金を落とすなら、付き合いのある山田さんの店にお金を落として、山田さんを応援しよう」と考える筈です。

【人検索】の世界では、「購買」と「支援」の境界線が曖昧になり、あらゆるサービスが「クラウドファンディング」や「ファンイベント」のように扱われます。

つまり、商品を買う理由に「応援」という項目が入ってくるわけです。

 

 

では、機能検索ではなく人検索という話を土地家屋調査士に置き換えてみましょう。

土地の地目変更登記を依頼するのに、土地家屋調査士Aに依頼しても、土地家屋調査士Bに依頼しても、どの土地家屋調査士でも、山林を宅地に地目変更したという結果は同じです。

登記完了証の表紙を立派なものにしたり、成果物で差をつけようとしても、依頼者は機能の差を臨んでいなかったりします。

では、金額でそれほど差がなければ、依頼者は何で土地家屋調査士を選ぶかと言えば、「人」です。

どうせ仕事を頼むなら、付き合いのある土地家屋調査士の田中さんに依頼しようと思うでしょう。

「人」検索に、できるだけ多く引っかかるように、普段から活動していく必要があるのです。

 

例えば、お祭りなどの地域の活動に参加する。

経営者が集まる団体に所属する。

SNSやYouTubeで情報を発信する。

オフ会に参加する。

セミナーに参加する。

多くの人に自分のことを知ってもらう、実際に会うことが大事だと思います。

 

私の場合は、SNSやYouTubeで情報を発信して、さらに人の集まるところに行って、会った人をSNSでフォローするようにしています。

1度会って名刺交換をしただけでは、3ヶ月もすると顔も思い出せなくなり、どこで会った人なのかも分からなくなるでしょう。

SNSでフォローをして、イイネやコメントをしていれば記憶には残りますので、「人」検索に残る可能性が高くなります。

 

「人」検索される土地家屋調査士になるには、ネットとリアルのハイブリットで多くの人に認知してもらうことが大切だと思います。

 

 

 

 

3.応援シロの計算式

著者は、顧客をファン化することが大切だと言っています。

顧客は機能を買い、ファンは意味を買うのです。

お客さんを一まとめにしてはいけない。顧客とファンはまったくの別物です。

例えば、毎日利用しているコンビニがクラウドファンディングを立ち上げたら、支援するだろうか?おそらく支援はしないでしょう。

なぜなら、そのコンビニの顧客だから。コンビニで、惣菜や、おむすびや、お茶は買うけど、コンビニの店員さんの名前を知らない。

コンビニでは、機能面だけを求めて商品を購入しているからです。

機能しか買っていない顧客には、商品を高く売ることはできません。

 

例えば、いつも通っているスナックのママが「コロナで大変だから、クラウドファンディングを立ち上げてみたわ」とそのクラファンのリターン(返礼品)が「2000円支援してくださったら、今度、お店に来たときにウインクしちゃう」であったら支援をするでしょうか。

ママのファンは支援をします。

 

なぜ、意味も必要もないスナックのママのウインクのリターンに2000円を払うのだろうか。顧客ではなく、ファンだからです。

 

顧客が多いことで安心はできません。

顧客:ファンが、9:1であるならば、8:2に、7:3になるように、ファンの比率が高くなるように努力をしなければならないのです。

顧客をどうやってファン化していくかです。

まず、理解しなければならないのは認知と人気は、比例関係にないということ。

お笑い芸人みんなが経験していることですが、かくいうキングコングも、テレビに出始めた頃で集客力のピークを迎えたそうです。

テレビに出た以降は、右肩下がりに集客力を落としていきました。

テレビに出ているわけだから、認知度は上がっている。

しかし、今まで数秒で売り切れていたライブチケットが売れない。もっと言うと300人の劇場も埋められなくなっていました。

キングコングは、認知度と裏腹に集客力を落としていたのです。

劇場で汗を流している芸人はテレビに出ることを目標とし、ファンはそこまでの道のりを応援する。

劇場からテレビまでの距離が「応援シロ」です。

テレビに出ることが当たり前になってしまうと、芸人の目標はレギュラー番組の本数を維持することが目標になってしまい、目標が現状維持になるので「応援シロ」がなくなってしまうからです。

「応援シロ」には明確な計算式があります。

応援シロ=目的地-現在地

 

「応援シロ」がないとファンは生まれないのです。

 

 

 

私自身も、実は西野亮廣さんと似たような経験をしています。

2001年に、土地家屋調査士事務所を開業した当初は、コネもなく、お金もなく、知名度もない中でのスタートとなりました。

飛び込み営業をする毎日です。

「土地家屋調査士で開業したばかりです。よろしくお願いします。」と必死で、営業を繰り返していました。

すると、1年目700万円、2年目1300万円、3年後2700万円、それ以降は4500万円まで売上は伸びていきました。

地元では、杉山事務所はそこそこ仕事が多い土地家屋調査士事務所として認知されるようになったのです。

ところが、4500万円をピークに売上は、緩やかに右肩下がりに落ちていきます。

そして2008年のリーマンショックで、売上は3分の1になり、なかなか回復できない状況が続いています。

私は、売上が落ちていった原因が、まったく分かっていなかったけれど、この本「夢と金」を読んで明確にわかりました。

「応援シロ」がなくなったからです。ファンになって貰うためには「応援シロ」が必要なのです。

開業当初の私は、生き残るため事務所を軌道に乗せるために必死で仕事をしていました。

必死で頑張っている姿を見て、「こいつ、開業したてで一生懸命やってるから、仕事出して応援してやろう。」と思ってくださったのでしょう。

ところが、事務所が軌道に乗って、さらに私自身も調子に乗って勘違いしたもんだから、周りからすると「応援シロ」応援する理由がなくなったということなのです。

 

「応援シロ」がないとファンは生まれない。

 

目的地-現在地の値を生む必要があるのです。

やらなければいけないことは、自身の目的地と現在地を晒し続けることです。

「自分がどこに向かっていて、今、どれくらい足りていないのか?」を周囲に共有し続けなければならないのです。

「目的が達成されなかった時に恥をかきたくない」という理由から「目的地を隠す」という自己保身に走ってはいけない。

「みっともない自分を晒したくない」という理由から「現在地を隠す」という自己保身に走ってはいけない。

もちろん、中には「いい歳して何言ってるの?」や「そんなの無理だよ」と笑う人もいるかもしれません。

 

しかし、目的地と現在地を晒さない限り、「応援シロ」は生まれない。

 

 

私の目的地と現在地について話します。

目的地は、私の子供の頃の夢であるプロの作家になることです。

プロですから、作家としての報酬で一般的に生活できる程度の収入を得ることが目標です。

月に30万円、年間で360万円の報酬が得られればプロと言っても良いかと思います。

土地家屋調査士の報酬と合わせれば、十分な収入とも言えるでしょう。

 

つぎに、現在地です。

今は。Kindle出版を5冊行っていて、収益は月におおよそ1万円程度。

SNS、YouTube、メルマガの総フォロワーが13000人。

プロの作家と言うには、程遠い現状です。

 

そして、プロ作家になるためにこれから何をするかです。

紙の本を出版する必要があります。

Kindle出版やアフィリエイトでは、それほど大きな収益は見込めません。

出版不況と言われる現代でも、やはり紙の本を出版するというのは大きいのです。

そして、出版にはさまざまな種類があります。

著者が全額費用を負担して行う自費出版、また本の一部または大半の本を著者が買い取りをする方法。

私の場合は、プロ作家を目指していますから、当然に自分で費用負担を行わない商業出版の1択となります。

商業出版をするためには、最低でも5000部売れる見込みが立たなければ出版ができないのです。

出版社が売れるのかをどうやって判断するかと言うと、企画、著者の知名度・実績、著者が売れるような文章が書ける人かを見られます。

企画で言えば、土地の境界線のことなどあまりにもマニアックな内容では5000部は当然売れません。もう少し、多くの人にリーチできる企画にする必要があります。

著者の知名度・実績ですが、私には何もないのでSNSのフォロワーで証明する他はありません。

現在の総フォロワー13000人を10万人以上には増やす必要があります。

売れる文章が書けるかどうかは、Kindle出版やブログで証明していくことになります。

 

目的は、プロの作家です。

現在地は、企画、文章力、知名度も実績がない。SNSのフォロワーを10万人以上にする必要があるということになります。

 

西野亮廣さんの本「夢と金」の一部分を引用して、土地家屋調査士の仕事と私自身のこれからの目標についても、話をしてきました。

1.歴史の大敗から学ぶ「ハイスペック」と「オーバースペック」

2.【機能検索】から【人検索】へ

3.応援シロの計算式

 

今日話した内容は、西野亮廣さんの本「夢と金」のほんの一部分だけです。

興味があれば、クリックしてご購入ください。