【お問合せ】現地に建物があるのにその土地(地番)上に建物の登記がありません。

今回は、現地に建物があるにもかかわらずに、その土地に建物の登記がないということがあります。

建物は現地に存在しています。
その土地の地番で建物の登記事項証明書を申請しましたが、その土地上に建物の登記情報がありませんでした。
その場合には、どのようなことが考えらるか?というお話をします。

不動産の調査をする際、特に古い建物を調査するときには、
役立つ情報ですので最後までご覧ください。

それでは建物の登記がないパターンを3つにまとめて話します。

1つ目は、
事故簿に登記されていて、コンピュータ化がされていない。

古い建物の場合は、事故簿に記載されている可能性もあります。
事故簿は、ブック式の登記簿をコンピュータ化する際に、文字が判読できないなどの理由でコンピュータ化されずに、紙情報で保管されている登記のことです。

不動産の登記は、昔、紙の簿冊で管理されていました。
それが昭和63年の法改正から、順次コンピューターで不動産登記が管理されるようになりました。

そのコンピュータ化の際に、何らかの事情でコンピュータ化されずに、紙の情報まま事故簿につづられた登記用紙があります。

このような事故簿につづられた登記は、インターネット登記情報で検索しても、「該当ありません」という結果になり、登記情報の取得ができません。

どのような登記用紙がこの事故簿につづられるかというと、

①同一の不動産について、数個の登記がある場合。二重に登記されている場合です。
②登記されている文字に判読できない文字があるとき
③所有者の記載がされていない。
④共有持分が記載されていない。もしくは共有持分を合計して1にならない。

などの原因が挙げられます。

このような不動産の場合は、コンピュータ化で、不適合になった箇所を是正をしないと他の登記が原則、出来ません。
なので、できるだけ早く、不適合となったところを是正しておく必要があります。

2つ目は、
所在地番が変更になっている。あるいは間違っているというパターンです。
曳家をしている場合
建物登記の所在地番が間違って登記されている
分筆、合筆で地番を変更している場合
これらのことが考えられます。

・建物登記の所在地番が間違って登記されている
可能性としては低いですけど、一応、周辺の地番に間違って登記されていないか
注意はしておいたほうが良いと思います。

・建物をそのまま移動する曳家という工法があります。
曳家って結構お金がかかるので、普通は曳家の費用にプラスして建物の建替えをする人が多いです。
ただし、その建物に思い入れがあったり、由緒ある建物であったり、
日本料理屋さんなどでどうしても先代からの建物を使いたいという場合には、曳家をすることがあります。
私は、この仕事を28年やってますけど、曳家の事例は2回しかないので、そんなに多い事例ではありません。
ただ、こうした曳家の可能性があるということを意識はしておく必要はあります。

・分筆や合筆の登記により地番が変更になっている
この可能性が一番高いと思います。
当初「10番3」の土地に建物がありましたが、底地の分筆により地番が「10番5」に変更になりました。
この場合には、建物の登記は、所在の変更の登記申請をしない限り、所在地番は「10番3」のままです。
したがって、「10番5」の登記情報を調べても、建物の登記情報はないことになります。
分筆の経緯は、土地の登記情報を見れば分ります。「10番5」の土地の登記情報を見ると表題部の原因及びその日付の欄に「10番3から分筆」と記載されています。
この記載で建物の登記が「10番3」になっていると推測できます。

土地の登記情報まで調べるのは、面倒くさいと思う人は、住宅地図やグーグルマップを法務局の職員に見せて、
物件を指差してこの建物の登記情報がほしいと言ってみましょう。
後は、法務局の職員が調べてくれます。

3つ目は、
その建物が登記されていない。
あらゆる事から、登記情報が見つからない場合は、未登記です。
通常、不動産の売買や建築をする場合には、融資を受けますので、抵当権を設定するため必ず建物の登記をします。
しかし、買主または建築主が融資を受けないで現金で建築などをした場合には、登記をしない場合もあります。

調査をする上では、所有者さんに聞き取りと
権利証や固定資産税の書類、建築関係の資料を提示してもらう
それである程度は判断できます。

まれに建物の登記でも大苦戦をすることがあります。
私も建物が未登記と判断して「建物表題登記」を申請して、
法務局の調査で、事故簿に登記があったということが判明したことがありました。
その案件は一度取り下げをして、「建物表題変更登記」を申請して、全部完了するまでに2ヶ月もかかったということがあります。

また、現在は建物の所在地番と家屋番号が一致するようになっています。
しかし昔登記された建物は地番と全く関係しない家屋番号にしていましたこともあります。
例えば所在地番は「5番3」で家屋番号が「甲192番」といった無関係な家屋番号になっていることもありますので、調査の際に注意が必要です。

建物の登記のことでお困りのことがありましたら、土地家屋調査士にご相談ください。