ここが変だよ。建物登記

建物を建築したときに、建物の登記が必要です。

まずは私たち土地家屋調査士が表題登記といって建物の種類、構造、床面積の現況を登記します。

つぎに司法書士さんが、所有権保存登記、抵当権設定登記をするという流れです。

 

今回は、その手続の流れがどうなっているのかを話します。

一部、手続きでおかしな部分もあって、ある種、禁断の話にもなってしまいますがお付き合いください。

 

どーも(^^)

開業21年、土地家屋調査士の杉山です。

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注文住宅の手続きの流れから説明をします。

注文住宅というのは、所有している土地もしくは、購入した土地に自由に設計をして建築を行う場合です。

 

登記の手続きの流れとして、

まずは、正式なバージョンです。

銀行の融資の実行を同時に行う。

建物が完成して、工事人が建物の引き渡しをする。

所有者さんが引っ越しをして新居に住所を移転する。

土地家屋調査士が建物の表題登記を申請して登記をします。

表題登記の完了。

住宅用家屋証明書の取得をする。

※住宅用家屋証明というのは、自分自身が住むための住宅を新築したときの登記申請(所有権保存登記・抵当権設定登記)に添付する書類です。

登記申請にかかる登録免許税の軽減を受けるために、法務局へ提出する証明書です。

司法書士さんが建物の所有権保存登記、抵当権設定登記

この順序で、行われるのがスマートな手続きの流れです。

 

 

つぎに、実務上行われる登記手続きのバージョンです。

実際には、融資の都合などもあって正式バージョンとは順序が入れ替わります。

建物の完成。

土地家屋調査士が建物表題登記の申請をする。

建物所有者さん新居へ住民票の移転手続き。

建物表題登記の完了。

住宅用家屋証明書の取得。

司法書士さん所有権保存登記、抵当権設定登記の申請

銀行の融資実行、工事代金の支払、建物の引き渡し

という流れとなります。

 

 

そして、手続きの中で変なところがあるので解説します。

ここが変だよ1番目、建物を引き渡す前に建物表題登記を行うというところです。

建物の所有権というのは、原則は工事人(工務店)が引き渡すまでは工務店さんにあります。

なので、施主さんが工事人(工務店)にお金を払って、引渡を受けてから建物表題登記をするのが通常の流れです。

しかし、施主さんは銀行から融資を受けて工事代金を支払う。

融資は建物表題登記が完了してから行う契約なっていることが多いので、工事代金の支払前、引渡前に、工事人の証明書を添付して建物表題登記を行うことになります。

ここが変1として、実質建物の引き渡し前に建物表題登記を行う。

 

 

ここが変だよ2番目、住所の移転の時期です。

住宅用家屋証明書を取得するときには、原則は建築した場所に住所を移転したあとに取得します。

そのために、建物の引き渡し前(引っ越しする前)に住所を移転するということもあります。

建築地に住所を移転しなくても住宅用家屋証明書を取得する方法はあります。

そのためには、住所が移転できない理由を記載した申立書と住んでいる場所が持ち家でないことを証明する書類が必要です。

アパートの賃貸借契約書を添付する。あるいは社宅であれば会社に社宅である証明書を発行してもらいます。

しかし実際には、面倒なので先に住所を移転してしまうことがあるようです。

ここが変2として、引っ越しする前に住所を移転する。

 

 

ここが変だよ3番目、住宅用家屋証明書は、誰が取るの?

住宅用家屋証明書は、保存登記、抵当権設定登記に添付する書面なので司法書士さんが取るべき書面だとは思うのですが、

しかし慣例として土地家屋調査士が取ると思っている人が多いようです。

仮に、土地家屋調査士が住宅用家屋証明書を取得した場合には、行政書士法違反になることも考えられます。

司法書士さんが住宅用家屋証明を取得した場合には、保存登記、抵当権設定の登記に添付するために証明書の取得をする行為なので、

司法書士の付属業務とみなされて行政書士法違反にはならないだろうと思われます。

手続きの流れとして、先に申請人である建物所有者さん、工務店さんにコンタクトを取っている土地家屋調査士が住宅用家屋証明書を取るのがスムーズに行くということなんでしょう。

司法書士さんが、市役所に行って住宅用家屋証明を取るのが面倒くさいということもあると思います。

しかし、司法書士さんが使用する書類なので司法書士さんが取るべきであろうと私は思います。

ここが変3として、司法書士が住宅用家屋証明書を取りたがらない。

 

ここ変だよ。建物登記としては、

実質、工務店さんが引渡しをする前に建物表題登記をしていることがあるんじゃないか。

引っ越ししていないのに、住民票の住所を移動する。

司法書士さんが、住宅用家屋証明書を取りたがらない。

そんなところが挙げられます。

 

 

ではなぜ、手続き上の変なことが起こるのかということです。

施主(建物所有者)さんも工務店さんも、土地家屋調査士もなんかおかしいと思いいながら、

大人の事情みたいな感じで手続きを進めていきます。

要するに、銀行の融資の実行の条件として、建物表題登記が完了していることというのがあります。

銀行が融資を実行します。

所有者さんは、融資を受けて工務店さんに工事代金を支払う。

工務店さんは、所有者さんから工事代金の支払を受けてから建物を引き渡す。

銀行さんが、建物表題登記の前に融資を実行すれば、すべての手続きがうまく回ります。

しかし、現状では融資の実行が建物表題登記の後になることが多いです。

 

 

 

 

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