建物の新築と取壊し登記するなら1月と12月どっち?

 

 

 

これから年末年始になると話題になるのが、どのタイミングで建物の登記をするのかという問題です。

新築をした建物を新築した日を年明けの1月にするか、それとも年内の12月にするのか?

あるいは建物の滅失登記で取り壊した日付けを1月にするのか12月にするのか?

 

もちろん、どっちが得どっちが損ということとは関係なく、

実際に、新築、取り壊しの工事をした日付で登記することになります。

日付の操作はできない前提でお話しまします。

 

ただし、1月それとも12月にすることで起きる影響は理解しておく必要があるでしょう。

 

どーも(^^)

開業21年、土地家屋調査士の杉山です。

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まずは、建物の固定資産税の考え方についてです。

固定資産税は、1月1日(賦課期日)に存在する建物について、1年間課税がされます。

 

ということは、令和4年12月20日に新築された建物というのは、令和5年4月から建物の固定資産税が課税されます。

さらに令和5年1月10日に新築した建物はどうかというと、令和5年1月1日に存在していないので、令和5年4月には課税されません。

令和5年1月10日に新築された建物については、1年間先延ばしになって令和6年4月からの課税がされます。

 

建物の取り壊しについても同じ考え方です。

令和5年1月10日に取り壊した建物については、令和5年1月1日に存在しているので、令和5年4月以降は課税がされます。

令和6年4月より非課税となります。

令和4年12月20日に取り壊した建物については、令和5年1月1日に存在していないので、令和5年4月以降は課税がされません。

 

このように、建物の新築、取り壊しの年月日を1月か12月かで、固定資産税に影響があります。

 

 

 

つぎに、住宅用地の固定資産税の軽減措置についてです。

建物の固定資産税だけを考えると1月1日に建物がないほうが、得な感じがします。

 

しかし、そう単純ではなくて、居宅とか共同住宅の住宅用地の場合は土地の固定資産税が軽減されるということです。

軽減措置は、住宅用地200㎡までの部分は、固定資産税が1/6、都市計画税が1/3となります。

住宅用地200㎡を越える部分は、固定資産税が1/3、都市計画税が2/3です。

延床面積の10倍まで、住宅用地として認められるということです。

 

ということは、1月1日の時点に建物(住宅に限ります)が住宅があったほうが、税務上は得だとも言えます。

もちろん土地の価格、建物(住宅)の価格を比較してのことですが、一般的に言えば住宅があったほうが税務上は有利です。

 

 

 

そして、住宅の建て替え(取壊してその土地に新築)する場合についてです。

11月に建物を取壊しました。そして1月に新築をしました。

という場合は、建物の固定資産税はその年は課税されません。

原則は、建物(住宅)がないわけですから、土地の固定資産税の税額は軽減がされないということになります。

 

しかし、多くの市町村では住宅の建て替えについて特例を設けていています。

住宅の建て替えの場合には条件を満たせば、住宅用土地の固定資産税の軽減は受けられることになっています。

条件については、管轄の市町村で調べていただければと思います。

 

ちなみに、さいたま市の1月1日に建物の工事が完了していない場合の取り扱いは次のようになります。

①建替え中の土地が、前年度に住宅用地として課税されていたこと。

②1月1日に住宅の建設工事が行われており、原則として当該住宅が翌年度の賦課期日までに完成すること。

③住宅の建替えが、建替え前の敷地と同一の敷地において行われていること。

④土地の所有者が、前年と原則として同じであること。

⑤建替え中の住宅の所有者と、建替え前の住宅の所有者が、原則として同一であること。

 

これが、さいたま市の要件です。

市町村によって条件が違いますが、条件に合えば住宅用地としての軽減措置を受けられます。

 

また、建物の新築と取壊しの日付というのは、現実に工事が完了した日付を登記します。

都合によって操作することはできません。

建物を完成させたときには、建築基準法の完了検査を受けます。

交付された検査済証の検査年月日を新築の年月日にするのが通常です。

完了検査の年月日より、新築の年月日が後だと、書類上の整合性が取れない(矛盾している)ということになります。

 

ただし、依頼者さんから相談されたときに、ただ現実に建築した日で登記しますだけではなくて、

日付によって税務上の影響があるということをわかった上で説明することが大切だと思います。

 

 

 

それでは、振り返ります。

建物の固定資産税の考え方についてです。

1月1日に存在する建物について、1年間課税がされます。

1月2日の新築の場合は翌年からの課税となります。

 

住宅用地の固定資産税の軽減措置についてです。

住宅用地の場合は、200㎡までは土地の固定資産税が1/6、都市計画税が1/3となります。

 

住宅の建て替え(取壊してその土地に新築)する場合についてです。

1月1日に登記上建物(住宅)がなくても、条件をクリアすれば軽減措置を受けられる場合があります。

市町村によって条件が違いますので、確認してください。

 

 

今回も、ご覧いただきありがとうございます(^-^)/

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