悲報【懲戒処分】になっちゃった!土地家屋調査士の処分事例2

土地家屋調査士など士業の場合は、法令に違反した場合に懲戒処分になります。

今回は土地家屋調査士の懲戒処分の事例の紹介、注意すること、私なりの意見を話します。

土地家屋調査士の仕事に興味がある人にとっては参考になりますので最後までご覧ください。

 

懲戒処分には、3種類あって、軽い順番に

①戒告処分・・・・注意勧告です。

②業務停止処分・・・・2年以内の停止期間が言い渡さます。

③業務の禁止処分・・・・土地家屋調査士としての登録が取り消されるもっとも重い処分です。

 

懲戒処分を受けるとインターネットで、

その土地家屋調査士の事務所所在地、氏名、事案の概要、処分内容が公開されます。

公開される期間は、

戒告は処分の日から6か月間

業務の停止の場合は、期間終了から1年間

業務の禁止の場合は5年間

となります。

 

当然ですが、同業者はライバルですから、懲戒処分なんてことになったら、

あっという間に業界に話が広まる。

しかも、わい曲して噂が広がって、ずっと言われ続けるということになります。

 

私なんか、綱紀委員会に呼び出されて、事情聴取されただけで懲戒処分されてないのに、まわりの人間みんな知っていました。

懲戒処分になってなくても、調査士会の役員をしている人には情報は入るので、そこから不動産系の関連業者には拡散されます。

私の場合は首都圏なのでまだマシですけど、地方だと一度噂が広がると大変だと思います。

 

どーも(^^)

開業21年、土地家屋調査士の杉山です。

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それでは、懲戒処分の事例を5つ紹介します。

1つ目は、未登録補助者の使用で戒告処分

2つ目は、仮境界標の打設で戒告処分

3つ目は、酒気帯び運転で業務停止処分3ヶ月

4つ目は、名義貸し(他人による業務)で戒告処分

5つ目は、すでに死亡している人からの登記申請と委任状の偽造で業務停止処分6ヶ月

 

 

 

 

1つ目は、未登録補助者の使用で戒告処分

土地家屋調査士の場合は、社員やアルバイトなど業務を手伝ってもらう人を補助者といいます。

補助者を雇い入れたときは、土地家屋調査士会に届け出なければならないとされています。

この補助者の届け出(登録)を怠ったということで戒告処分になったという事例です。

 

事例では補助者2名が、土地の境界の調査をするにあたって、隣の土地の所有者に許可なく、敷地に入った。

また、分筆登記を申請するにあたり、申請人である共有者の1人について、会っていないのにもかかわらず、

不動産調査報告書には本人確認の方法として「面談による」と事実とは違うことが書かれていた。

 

これらによって、補助者の監督責任または未登録補助者の使用、私文書偽造(不動産調査報告書)ということで戒告処分ということです。

 

想像、妄想、憶測ですけど、

おそらく隣の人か、もしくは依頼者か、あるいは両方となんらかのトラブルがあった。

法務局に提出した登記申請の書類なんかも調べられて、不動産調査報告書も見て、

「面談って書いてあるけど会ったことない」みたいな話で土地家屋調査士会に懲戒申立をされたのではないかと思われます。

 

結局、トラブルになると相手に何か落ち度がないかとあら探しになってしまいます。

だからこちらも、できるだけ相手から追求されるポイントを作らない。

穴を作らないというのが大事だと思います。

 

常勤で雇い入れる人であれば、通常は補助者の登録はします。

職務上で役所で住民票や固定資産税の評価証明書などを請求した場合に、

役所から身分証明書の提示を求められます。

その住民票などの請求を社員さん(補助者)にやってもらったときに、補助者の登録をして補助者証(身分証明書)がないと住民票など書類が受領できないのです。

だから常勤で雇う人については、ほぼ補助者の登録はします。

 

ただし、たまに仕事を手伝ってもらう派遣社員さんとか、アルバイトの人だと登録していないということはかなりあると思います。

業務でトラブルになると当然、細かいところまで見られますから注意が必要です。

 

 

 

 

2つ目は、仮境界標の打設で戒告処分

隣の土地の所有者に一度も説明も説明をすることなく、仮の境界として鉄鋲を打設したということです。

この事例については、資料で説明が少なくて細かいところまでは把握できないので想像の部分が多くなります。

 

仮の境界というのは何だろうということです。

考えられるのは2つくらいかなという感じです。

 

①境界の立ち会いでポイントを見てもらうために仮で鋲を入れた

計算した境界ポイントを現地で示すんですけど、

境界点になるポイントが土の上になる場合は、仮に木の杭を打つかあるいは目印として金属鋲を地面に刺すということはあります。

ちなみに木の杭だと目立つ、立会前に刺激したくはないので、地面に金属鋲を刺して仮の境界ポイントとすることが多いです。

地面に金属鋲を指すことに「打設」という言葉は使わないと思うので、この事例には当てはまらないと思います。

 

あと考えられるのは、通常は境界点になる部分がコンクリートの土間とかアスファルトの上に来る場合はペンキでチョンと印を付けます。

そしてペンキの印を境界立会で見てもらいます。

ところがペンキなので、小雨でも雨が降っているとペンキで印が付けられないのです。

普通はやらないですけど金属鋲を打っちゃって、それで立会のときに隣地の人に「何勝手に鋲を打ったの」みたいな話になったのか、

可能性は低いけどあり得るかなと思います。

 

②建物の完了検査用に金属鋲を入れた

2回これを言われた経験があります。

「建築基準法の建物の完了検査を受けるのに必要だから検査のときだけでいいので境界を入れてほしい」

こういう話をされたことがあります。

もちろん2回とも、お断わりしています。

 

そのうち1回が私の中では、ものすごく衝撃的な出来事でした。

建築設計の事務所から、隣との境界立会確認をしない現況の測量を依頼されました。

既存の境界杭や、塀などの構造物などを測量して、現況による測量図を提出した。

その後に、依頼者である建築事務所から当時私の事務所で働いていた社員の携帯電話に連絡があって、

「現況測量図で面積計算したポイントにプレートを設置しろ」という話だったんです。

かなり、強い口調で言われたと当時の社員さんから報告がありました。

すぐに、依頼者である建築業者に連絡をして、

「立会もしてないのにプレートの設置はできません。」

「隣の人の承諾もないのにプレートを設置するのは犯罪ですよ」と言うと、

建築業者は「そんな大変なことだとは思いませんでした。」とトボけたこと言っていました。

もちろん、それ以降の取引はすべてお断りいたしております。

衝撃的だったのは、私に言うのではなくて社員にプレートを設置するように強要してきた。

こんな事があるんだという驚きでした。

 

当時いた社員さんが、業者の圧力に屈しないで私に報告をしてくれたので、事なきを得ました。

社員さんが業者のプレッシャーに負けてプレート付けていたら、私も懲戒になっていた可能性というのはありました。

 

当時いた社員さんに感謝と付き合う業者さんは選ばないと本当にヤバいです。

 

 

 

 

 

3つ目は、酒気帯び運転で業務停止処分3ヶ月

土地家屋調査士の場合は、その業務を行うのにかかわらず他の法令に違反した場合も懲戒処分の対象となります。

この業務外行為による懲戒処分の対象で代表的なのが、「酒気帯び運転」です。

 

被処分者(調査士)は、事務所近くのコンビニエンスストアで缶ビール500mlと弁当を購入した。

そして午後6時から7時までの間に、弁当を食べて、缶ビール500mlを飲み干し、事務所にあったウイスキーを飲んだ。

「おいおいおい。事務所にウイスキーがあるのかい」というツッコミは置いといて、

午後10時30分に業務を終えた被処分者は、酔いが醒めていると判断して自身の軽ワゴンの自動車、作業用の車でしょうか。

軽ワゴン車を運転して自宅へと向かいました。

そして午後11時12分、事務所を出発して約40分後ですね。

結構遠いですね。自宅と事務所がかなり離れているんでしょうか。

赤信号で止まっている乗用車に、時速30キロでドーンと突っ込んでしまったんですね。

 

間もなく到着した警察官が、呼気検査をした。

昔22、3歳のころ、私もやったことあるんですけど、呼気検査ってフーッと息を吐いて風船みたいのを膨らますやつですよね。

今回の被処分者は、1リットルあたり0.25ミリグラム以上のアルコールが検出された。

そして酒気帯び運転と道路交通法違反で現行犯逮捕ということになっており新聞でも報道されたということです。

 

私は、お酒をやめて10年以上経っています。酒を辞める前は、かなりガッツリ飲むタイプだったんです。

その経験で言わせてもらうと、2、3時間じゃお酒は抜けません。

夜にお酒をガッツリ飲むと、次の日の朝は酒が残ります。

 

翌朝も、車を運転したら酒気帯び運転になる可能背は、かなり高いと思います。

お酒の飲む人は、注意したほうがいいですね。

 

 

 

 

 

 

4つ目は、名義貸し(他人による業務)で戒告処分

被処分者は、土地家屋調査士の仕事を行う事務所を申立人である株式会社乙不動産の事務所内に置いた。

そして土地家屋調査士の業務に必要な測量ソフト、測量機材、その他の設備についても乙不動産が費用を負担して購入した。

その他、賃料、光熱費、補助者の給与も乙不動産が費用を負担していた。

 

さらに土地家屋調査士の報酬は、依頼人から自身名義の銀行口座に入金されていたものの、通帳は乙不動産の代表者の弟が管理していた。

その報酬の使途(使い道)については、被処分者は詳しく把握していなかった。

被処分者の事務所には、「乙測量登記事務所」と記載された看板を掲げていた。

被処分者は、報酬の受け取りは基本的に銀行振込で行っていて領収証の交付は求められていたときだけ行っていた。

 

まあ要するに、株式会社乙不動産が土地家屋調査士を抱え込んでいた。

そして、何らかのトラブルがあったか、乙不動産が抱え込んでいた土地家屋調査士に対して懲戒処分の申立を行った。

 

その土地家屋調査士が今の関係を辞めたいということを言い出して、乙不動産が報復(仕返し)してきたのか?

そのあたりの事実はわかりません。

なんか切ない事例ですね。

 

具体的な違反行為としては、

①非調査士との提携の禁止です。

「調査士は、調査士でない者にその名義を貸与する(要するに名義貸し)、またはその業務をを取り扱せて、もしくは協力、援助をしてはならない」とされています。

②事務所に調査士である旨の表示の義務違反です。

本来は、被処分者の名前で「土地家屋調査士〇〇」と事務所に表札を掲げないところ、「乙測量事務所」と掲げていた。

③領収証は求められた場合に限り、発行していた。

土地家屋調査士が、依頼者から報酬を受けたときは、領収証を正副2通作って正本に職印を押して依頼者に交付しなければならない義務があります。

これに違反していたということになります。

 

通常、名義貸しまたは他人による業務については、期間の長い業務停止になるのが通例ですけど、

極めて軽い戒告処分で済んだのは、乙不動産もやっていることがひどいですし、多少同情もあったのかと思います。

 

 

今回は、株式会社乙不動産の事務所内に、被処分者の土地家屋調査士事務所が設けらていた。

実際に会社の中に、土地家屋調査士事務所が設けられるとうことはあります。

多いのは測量会社の中に、土地家屋調査士事務所が設けられている

普通の人は、測量士と土地家屋調査士の区別は付きませんから、

測量会社に分筆、測量の依頼は普通に来ます。

 

ほとんどの場合は、土地家屋調査士業務と測量会社などをきちんと区分けして健全に業務を行っていると思います。

ただし、まれに土地家屋調査士の報酬を会社の売上にしていたり、

ひどい事例では職印(調査士が登録した印鑑)を会社に預けて、土地家屋調査士は事務所にはほとんど顔を出さないなんて事例もあります。

 

会社の中に入って、土地家屋調査士業務をやって行くには、その会社と土地家屋調査士の関係が対等であって、

きちんと言いたいことを言える関係でないと難しいと思います。

 

今回の事例みたいに、測量機械、測量ソフトを買い与えられて、補助者の給与まで会社が払っていたとなると、

どうしても主従の関係ということになります。

 

そこで土地家屋調査士の業務をまっとうしていくというのは、難しいかも知れません。

 

 

 

 

 

 

5つ目は、すでに死亡している人からの登記申請と委任状の偽造で業務停止処分6ヶ月

登記名義人の長男を登記名義人であると間違えて、分筆登記を申請した。

後日、12年前に登記名義人が死亡していたことが判明したという事例です。

 

被処分者(調査士)は、有限会社A建設から土地の分筆登記を依頼された。

その際に登記名義人であるBの長男Dを所有者であるとA建設から紹介された。

そして被処分者(調査士)は、長男Dを名義人であると誤認して、Bを申請人として分筆登記の申請に至った。

被処分者は、平成27年7月に分筆の登記を名義人であるBを申請人として申請し、登記を完了させた。

委任状は、補助者があらかじめ申請人の住所、氏名を印字したものを作成して、A建設に渡して委任状の押印を依頼した。

被処分者(調査士)は、委任状は誰が押印したのかは確認していない。

 

今回申請人となった登記名義人Bの妻であるD、そのDの成年後見人である司法書士から連絡があり、

登記名義人Bは、12年前に死亡していた事を知った。

 

被処分者(調査士)は、いずれ死亡者から分筆申請をしたことを発覚するのを恐れた。

そして、隠蔽するため被処分者(調査士)は申請人の委任状を自ら作成して分筆錯誤による抹消の申請をし、登記を完了させた。

 

違反した行為としては、

申請人が死亡していますので、当然申請人に申請意思の確認をしていない。

長男Dを登記名義人と誤認していますので本人確認義務違反です。

 

ここまでで済んでいれば、「大きなミスをやらかしちゃいましたね。」ということでした。

 

ところが、被処分者(調査士)が、一線を超えてしまいます。

自ら委任状を偽造して隠蔽のために、分筆錯誤による抹消の登記を申請してしまったんですね。

 

これで長期間の業務停止以上の処分が、確定となりました。

 

この前の段階で関係者に謝罪して、相続人全員で合筆するとか、別の方法で解決できれば事態はだいぶ違っていたと思います。

分筆登記をして、その申請人が死亡していたら相当に焦ったと思います。

成年後見人が入っているので、合筆するにも裁判所の手続きが必要になりますし、事態は厄介です。

 

ここで一線を超えるのか、それとも謝罪して誠実に対応できるかは、自分に軸があるかどうかだと思います。

 

私の場合は、生き方の指針としてスティーブンRコビー博士の「7つの習慣」という座右の書があったり、

倫理法人会という団体で倫理的な勉強をしています。

そうすることで、迷ったときに間違った方向に行かなくて済むんです。

 

このケースでも、申請人を誤認しいて、実は死亡していたことがわかった。

私も似たようなケースの経験はあります。

被処分者(調査士)さんは、相当に混乱したことでしょう。

事実を隠蔽したい気持ちはわかりますけど、隠蔽の方に行ってしまったら終わりです。

実際に業務停止6ヶ月ですから、今までのお客さんはほとんど離れると思います。

その地域の業界では、相当な噂にはなっていると思います。

 

仮に、申請人を誤認したところまでで留まっていれば、

業務停止も2週間くらいか、もしくは戒告処分で済んでいた。

あるいは、関係者の話だけで済んで懲戒まで行かない可能性もあると思います。

 

仕事をしていると、間違った方向にふら~っと行きそうな場面というのはいくらでもあります。

測量していて、隣地の人が境界の確認をしてくれない。

測量の納期は迫ってくる。

依頼人や関係者からはものすごいプレッシャーをかけられる。

そんなことは、仕事をしていれば、しょっちゅうです。

 

懲戒処分の事例をみていると、超えてはいけない一線を超えてしまう人もいます。

 

やはり、自分の軸を持つということが大切だと思います。

 

 

 

今回も、ご覧いただきありがとうございます(^-^)/

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