【Q&Aまとめ】境界確認書があっても分筆できない?

今回は、コメント欄などの質問にまとめて回答いたします。
共通の疑問や問題を抱えている人は、解消できます。
動画を全部見ている時間がないという人は、概要欄のチャプターを使って必要なところだけご覧ください。

どーも(^^)
開業20年、土地家屋調査士の杉山です。
このチャンネルでは、土地家屋調査士としての経験、知識、考え方をお話しています。
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それでは、順番に回答してきます。
Q1 ブロック塀を隣り合わせで作ろうと思っているのでうがおかしいですか?
Q2 境界杭が地面から20~30cm出た状態で設置されています。境界杭を低くするにはどうすればいいですか?
Q3 境界確認書があるのに、分筆登記ができないと言われました理由は何ですか?
Q4 境界確認書は、分筆登記に必ず添付しないといけない書類ですか?
Q5 筆界特定の申請をすれば問題は解決するでしょうか?
Q6 法務局にあるその地域の調査士の名前が掲げられている掲示板や調査士会の名簿を見て相談にくる人はいますか?
Q7 親子で土地家屋調査士の場合、息子が調査士に登録してどのくらいで、 父親が土地家屋調査士を辞めますか?
Q8 飛び込み営業をすることに抵抗はありませんでしたか?

Q1
ブロック塀を隣り合わせで作ろうと思っているのですがおかしいですか?
A1
ブロック塀を隣と合わせて2重につくっているというのは、よく見かけます。
2重に塀をつくることは特におかしくはありません。
ただし2重に塀を作ることで、地中にある境界杭が確認できなくなってしまうことがあります。
うまく境界杭が見えるようにブロック塀を施工してもらう。
塀の位置を1,2cm離すか、境界杭の部分を大きめにカットして見えるようにしてもらう。
あるいは境界杭がある部分は、施工しない。
または、土地家屋調査士に依頼して、塀の設置が終わったあとに塀の上に金属プレートの境界標を設置する。
ブロック塀を施工したあとも境界が確認出来るようにしておくのが良いです。

Q2
これから借りようとしている土地の境界杭が地面から20~30cm出た状態で設置されています。
車の出入りがしづらい状態なので、境界杭を低くしたいのですが、どのような方法があって、どのような手続きが必要でしょうか?

A2
まず、道路の境界を管理しているのが誰なのかということです。
私道で個人が所有して管理しているということであれば、土地家屋調査士に依頼して測量をして、
私道の所有者と協議をして、境界杭を低い位置に設置するということになります。

つぎに、道路が公共用地の場合は、市役所に相談に行ってください。
市役所で管理していれば、そこで話ができますし、管轄が県とか国であれば、どこに相談すれば良いのか確認をすることができます。
そして管轄の行政から、道路境界確認申請を行ってください。
とか土地家屋調査士に依頼して境界の修復作業をしてくださいとかお話があると思います。

そして、役所に境界確認申請をするにしても、土地家屋調査士に依頼するにしても、
借りている人からは境界確認などの申請はできません。
あくまで地主さん(所有者)から申請することになります。
境界標を低くする場合には、貸主である土地の所有者さんの合意のもとにする必要があります。
土地所有者さんの理解が必要になるということです。

 

Q3
隣地所有者との境界(筆界)確認書があるのに、分筆登記や地積更正登記ができない。その理由は何ですか?

A3
理由は3つ考えられます。
①隣地の所有者が売買等で変更した場合には、原則は新しい所有者から確認書をもらい直します。
境界確認書に第三者に承継する一文を入れることが多いです。
「それぞれの承継人に対して本確認書の内容を承継させるものとする。」
ただし、この一文を入れたとしても、この文章がどこまで有効なのかというのは微妙なところです。
担当する法務局の登記官によっては、第三者に承継する文章があったとしても、
新しい所有者から再度境界確認書を取得するように言われる可能性はあります。

②確認した境界線が、真実の境界線と違う場合には、その確認した境界で分筆を申請しても却下されます。
例えば公図を見ると鍵状の境界になっていて、本来境界線も鍵状である。
それにも関わらず、境界確認書はまっすぐの線で確認して作成しました。
このように真実の境界とは違う位置で、境界を確認して作成した境界確認書では分筆登記をすることはできません。
また、法務局にある地積測量図と確認した境界の数値(辺長など)が大きく違う場合も、同様に分筆ができないことがあります。

公図と形状が違う。法務局の地積測量図と数値が大きく違うという場合には、分筆ができない可能性がありますので注意が必要です。

③境界(筆界)確認書に添付された図面と現地測量の結果が違う場合
5年前に取り交わした境界確認書がある。
そして再度、測量した結果、5年前に取り交わした測量結果と違いがある。
その違いが数ミリ程度の測量誤差の範疇と言えるような状況なら良いのですが、
大きく違う場合は、改めて境界確認書を取り交わす必要があります。

また境界確認書を取り交わした日付が、あまりにも古い場合にも改めて境界確認書を取り交わすのが望ましいです。

最近では、土地売買の条件として境界確認書の取得のほか地積更正登記も条件に入れられていることが多いです。
これは境界確認書があっても分筆や地積更正の登記ができないことのリスク回避をしているということです。

特に宅地分譲事業では、分筆ができないというのは土地が商品化ができないということになります。
境界確認書があっても、慎重に検討する必要があるということになります。

 

Q4
境界確認書、立会証明書は、分筆登記に必ず添付しないといけない書類ですか?

A4
最近、提出された地積測量図がある場合(いわゆる再分筆)には、境界確認書、立会証明書の添付をしないで分筆の申請をすることもあります。
ただし、原則は境界確認書、立会証明書を添付して分筆登記を申請します。
境界が図面などの資料と現地の既存杭で、明確であるにも関わらず、隣地所有者が境界立会に応じない場合には、境界確認書、立会証明書を添付しないで分筆を申請して、
法務局から立会をするように通知を出してもらうこともあります。
それでも立会に応じなければ、分筆登記が却下されるか実行されるかは、登記官の裁量ということです。
法務局の登記官は、人証(人の証言、境界確認書など)、物証(既存の境界杭、塀など)、書証(測量図面など)をトータルで判断します。
いずれにしても、法務局の登記官が境界線の確認ができなければ、分筆登記の申請は却下されるということです。(不動産登記法25条11号)

Q5
隣地の所有者が境界を確認しない場合は、筆界特定の申請をすれば問題は解決するでしょうか?

A5
筆界特定制度を使うことで、分筆や地積更正の登記をすることはできます。
ただし、隣地の所有者に拒絶をされれば、境界標の設置をすることはできません。
また、境界確認書も取得できないので、売却等を考えると筆界特定制度も完全とは言えません。
土地を売却するのであれば、細く分筆をして境界杭を設置して問題の土地と相隣関係にならないように売却をすることになろうかと思います。

Q6
不動産業者さんは、土地家屋調査士と仕事をすることが、多いと思いますが、
法務局にあるその地域の調査士の名前が掲げられている掲示板や調査士会の名簿を見て相談にくる人はいますか?

A6
法務局の掲示板や調査士会の名簿を見て依頼してくる人はほとんどいないです。
仮に、不動産業者さんでそういう人から依頼があったら、私はかなり警戒します。
依頼を受けちゃいけない人っているんですよ。
どんなことしても売っちゃえばいいみたいなトラブルメーカーもいるし、
もしかしたら反社会勢力の方かもしれない、お金の支払いが悪いかもしれない。

普通、仕事を依頼するときというのは、仕事仲間に紹介をしてもらったり、せめてインターネットで評判など確認すると思います。
特に、調査士会の名簿を見る人って、開業したばかりの土地家屋調査士を狙ってくるヤバい人の可能性もあります。

私の開業したばかりのときで、突然現れて測量の依頼してきた不動産業者さんがいました。
ファミレスで打ち合わせをしたんですけど、雰囲気も言葉遣いも普通の人とは、ちょっと違うなという印象でした。
当時は、インターネットもまだ普及し始めたばかりで、相手のことを調べる方法というのが今みたいにはなかったんです。
ちょっと怪しいなと思いながらも、地主さんを紹介されて測量をしました。
最初に着手金として半分を支払ってもらって、測量業務を完成させて、不動産業者さん経由で残金の請求しました。
ところが、1ヶ月経ってもも、2ヶ月経っても支払いがない。
その紹介した不動産業者さんに言ってもノラリクラリやられちゃうんで、
もう直接、地主さんに連絡をして、ちょっとキツ目に「支払いしてください。」と言って、支払いしてもらったんです。

そしたら、不動産業者さんから電話があって、「お前勝手なことするな!」みたいな話から始まって、恫喝です。
電話でも、ものすごい恐怖を感じました。
明らかに、一般の人が怒っているのとはレベルが違うんです。
もしかしたら、反社会勢力の方だったのかと思います。

 

Q7
父親も息子も土地家屋調査士で、 一緒に仕事をしているケースの場合、
息子が調査士に登録して どのくらい経ってから、 父親が土地家屋調査士を辞めますか?

A7
これは人によって違います。
私なら、すぐに土地家屋調査士会を退会して、息子の補助者として手伝いをします。
息子が私の手伝いが必要ないと言われれば、補助者も辞めます。
私は、私で好きなことをして生きていきます。

親子で一緒にやるメリットとデメリットで考えると
①メリット
・親の顧客をそのまま継続できる。親が事務所を離れてしまうと取引がなくなる可能性がある。
・土地家屋調査士しか行えない業務というのがあります。境界立会など2人で進めることができる。
土地家屋調査士が一人しかいなければ、息子一人で境界立会いなどをやることになります。
・登録を続けることで「土地家屋調査士」の肩書を使うことができる。
情報発信をする上では、土地家屋調査士という肩書を使えるか使えないかというのは、結構大きいと思います。

②デメリット
・土地家屋調査士会の会費など経費が2重にかかる
・今は一人でも土地家屋調査士法人が作れるので2人で登録するメリットがない
・二人同時に懲戒処分を受けてしまうと仕事ができなくなる。

まあ、トータルで考えると、土地家屋調査士会の会費が2重でかかるのが大きいです。
都道府県によって会費が違いますが、埼玉会だと調査士会会費(毎月11,500円)のほか、比例会費(申請件数✕200円)、支部会費(毎月2500円)などがかかってきます。
こうした経費が2重に掛かってきますので、登録を取り消す人が多いと思います。

親子割引とかあったらいいと思いますけど。

 

Q8 司法書士として開業を目指している者です。
私は営業ができるか今からとても心配なのですが、飛び込み営業をすることに抵抗はありませんでしたか?

A8
私も、営業職の経験はありませんから、飛び込み営業は、最初は抵抗がありました。
最初の頃は、不動産業者さんの前まで行って、どうしても中に入れずに引き返すことを何度も繰り返してました。
しかし、金なし、コネなし、コミ力なしでスタートしたので、とにかく出来ることはすべてやるという感覚です。
飛び込み営業は、最初はドキドキしましたけど1件入って、2件入ってと繰り返してるうちに、だんだん平気になっちゃうんです。

営業の台本をつくったり、チラシをつくったりと工夫してやってました。
20件に1件くらいは、ひどい扱いされることもありますけど、
まあこれも、いい経験になったと今では思います。
飛び込み営業でも意外と優しく接してくれる人が多いんです。

ただ、今はインターネットを使った集客もできますし、いろんな営業手法を試してみて、
自分に合う方法を見つけてみてはいかがでしょう。

以上、8つの質問に回答しましたが、いかがでしたでしょうか。
参考にしていただければ幸いです。

今回も、ご覧いただきありがとうございます(^-^)/
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