カミソリ状の細い土地!危険なの?安全なの?

公図を見ると細長い土地がある。
そうした細長い土地というのは、なぜできるのか。
どういう意味があるのか。
それは安全なのか危険なのか。

今回は、カミソリ状の細い土地の話をします。
この動画を見ていただければ、ご自身の所有している土地、
あるいは購入を検討している土地のまわりに細い土地がある。
そんなときにどう考えればいいのかがわかります。

どーも(^^)
開業20年、土地家屋調査士、杉山です。
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最後に視聴者さんのコメント欄の質問にランダムで答えますので、お付き合いください。

それでは3つのポイントでお話します。
1つ目は、細い土地はなぜできるのか
2つ目は、細い土地は安全なのか、危険なのか
3つ目は、細い土地の境界確認ができないときの対応

1つ目は、細い土地はなぜできるのか
こういったカミソリ状の分筆は昔からあります。
今でもあります。
いくつかのパターンを紹介します。

①位置指定道路をつくるのに、細く分筆することがあります。
位置指定道路に隣地する土地・建物の所有者の同意が必要であったり、
道路ができることによって道路斜線制限など法的な制限を受けます。
これ少し幅をあけることで、同意が不要になったり、道路の法的な制限を回避することができます。
なので、位置指定道路をつくるときには、細い土地をつくることがあります。

②隣地の建物で特に躯体の部分が越境している。
その場合に越境している部分を分筆することがあります。

容易に撤去できないようなものが越境している場合には、
越境している部分を分筆する。
そして売却の範囲からはずすします。
越境物のない部分だけをA⇒Bに売買して、
越境している部分はA名義に残すということがあるわけです。

隣地からの越境物がある場合に、細い土地ができることがあります。

③一部分について境界確認ができない場合に細い土地をつくることがあります。
細く分筆して残地差し引き計算にすることで測量の数値を入れないということがありました。

ただし、この手法は平成16年の法改正で、分筆をする際には全筆を求積するのということになりました。
なので、この手法は平成16年以前に分筆をした事案で多く見られます。
この分筆で問題になるのは、後々に境界が確定したときに、
想定よりも食い込んできた場合には筆がなくなる可能性があるということです。
これは安全を見てカミソリ状でも余計に幅をとっていないと危険です。
この残地差し引き計算で、境界が確定している範囲内で売買を行うことがありました。

平成16年以前の分筆で多く見られる細い土地のパターンということになります。

④上下水道を通すため細く分筆することがあります。

高低差の関係で前の道路に排水がしづらい。
水は高いところから低いところに流れます。
排水をポンプアップすることで、逆に低いところから流すこともできるんですけど、
そんなことをするよりも細い土地をつくって流したほうが良いという場合もあります。
あるいは前の道路に上水道、下水道が通っていない。
などの理由で、細い土地をつくって違う経路で、上下水を通します。
そういった場合に、細い土地をつくるということがあります。

 

⑤狭い道路でセットバックしている
建築基準法で、幅4メートル未満の道路の場合は、
道路の中心から2メートル後退して建築をします。

そのため後退分を分筆しますので、細い土地ができることになります。
道路を後退した部分が、ご自身の名義であれば、後退部分を自治体に寄付することをおすすめします。
自治体によっては、寄付することで助成金を受けられることがあります。
寄付した後は、自治体が管理してアスファルト舗装やU字側溝をしますので、寄付がおすすめします。
また、道路後退をした部分が近隣の人と共有になっている。
あるいは、まったく関係のない人の名義になっている場合には厄介です。
その辺は後ほど説明します。

⑥ヤバい人が自分の名義を残しておく
土地を分譲するときに、細く分筆して残しておく。
なにかの機会に、それをお金にするというパターンです。
確率は低いですけど、そのパターンもあり得ます。
私が2回ほど経験した事例を後ほど紹介します。

 

2つ目は、細い土地は安全なのか、危険なのか

安全なのか、危険なのかは誰がその細い土地を所有しているかによって変わります。

①安全なパターン
近隣に住んでいる人が所有しているとか、
所有者の所在がハッキリしているときは問題ありません。
また国や市町村が所有者の場合も問題ないということになります。

場合によっては、国や市町村からその隣接する細い土地を買い取ることができる場合がある。
国や市町村の窓口と要相談ということになります。
また、民法で「一定の期間、一定の要件でその土地を占有したものは所有権を取得する」とされています。
法律の条件が整えばですが、時効取得による方法も考えられます。
ちなみに、公図を見て地番のない土地というのがあるんですけど、
地番のない土地は国の所有であると推定されます。
所有者が国など公共機関であったり、所有者の所在がハッキリしているということであれば、
心配する必要はありません。

②少しだけ厄介なパターン
所有者の所在が不明な場合です。
昔、宅地分譲をした業者の名義が残っている。
調べたら廃業していて、もう存在しない。

昔、住んでいた人の名義が残っている。
あるいは誰だかよくわからない人の名義である。
所有者の所在が不明な場合には境界立会ができないので、
厄介な土地ということになります。

③危険なパターン
先ほどお話をした悪意で所有権を残しているというパターンがあります。
私が体験したケースをお話します。
競売で購入した土地を宅地分譲して、周囲に細い土地を残す。

そして細い土地に接する人が、測量をして境界確認が必要になる。
何か理由をつけて、
境界立会に応じない。境界について認めないということになります。
最終的には、細い土地について買取を要求してくることがありました。

周囲に、得体が知らない人が所有しているという場合には注意が必要ということになります。

3つ目は、細い土地の境界確認ができないときなどの対応

①時効取得も検討する
法律の要件が整っている場合は、時効取得も検討材料になります。
10年または、20年以上の期間、
土地を一定の要件のもとに専有した場合はその土地の所有権を取得します。
説明すると長くなってしますので、詳しくは、過去に動画で説明をしています。
そちらをご覧ください。

②筆界特定制度を使う
法務局に筆界特定という申請して筆界(境界線)を特定することができます。
ただデメリットもあります。
期間が1年程度はかかる。
費用も高額になってしまいます。
筆界が特定しても、相手方から拒絶された場合には、境界標の設置ができません。

メリットとしては、
その相手方が行方不明であっても、
境界立会に応じなくても、境界について異議あっても、
高額で土地を買い取るように要求されても

相隣関係に左右されることはありません。
法務局の判断で筆界(境界線)が特定されます。

 

③建築基準法の道路後退部分について
セットバックした細い土地について、
利用する宅地の所有者単独名義になっている。
あるいは、市町村の名義になっている。
こういった場合には、特に問題はありません。
厄介なのは、セットバックした土地について、近隣の人と共有になっている。
あるいは、関係のない第三者が所有しているということもあります。
昔、宅地分譲をした業者が名義を残している場合があります。

こういった場合の解決方法ですが、
他人の所有であれば土地を買い取る。
共有物分割をして単独名義にする。
可能であれば、市町村に後退部分を寄付する。
といった方法が考えられます。

なぜ、後退部分に他人の名義があると問題なのかというと、
宅地というのは、他人の土地を通らずに他人の土地を通らずに、自分の土地に入れないとダメなわけです。
道路に至るまでに他人の土地があるというのは、銀行で融資を受けるのに問題あるわけです。
ほとんどの人は、不動産を購入するあるいは建築をする場合には、銀行でお金を借ります。
なので銀行で融資を受けられない土地は売れない土地ということになります。

土地を売却したい。
建物を建築したい。
融資を受けたいという場合には、この問題を解決しておく必要があります。

解決方法は、
他人の所有であれば土地を買い取る。
共有物分割で単独名義にする。
市町村に後退部分を寄付する。
というのが解決方法です。

以上、参考にしていただければ幸いです。

最後に視聴者さんの質問に答えます。

r hさんの質問です。
Q:土地家屋調査士と他の士業との関わりを割合で示すとどのようになりますか?
また、土地家屋調査士から他の士業へ仕事をふることはありますか?

A:
私の場合は依頼を受けるということであれば、
宅地建物取引士さんからの依頼がもっとも多くて7割から8割くらいです。
つづいて司法書士さん、建築士さんが各1割くらい。
その他はあまり大差はないですが、
税理士さん、弁護士さん、行政書士さんなどから依頼を受けます。

土地家屋調査士から仕事を依頼することは少ないんですけど、
司法書士さんに保存登記、共有物分割
行政書士さんに農地法の許認可、建設業許可、宅地建物取引業の許可など

事務所によって、価格設定によって割合などお付き合いする人が違います。
参考していただければ幸いです。

今回も、ご覧いただきありがとうございます(^-^)/
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