売却を前提にした測量をするときに土地家屋調査士がどんなことに注意せているか

土地の売却を前提に測量を依頼されることが多いんですけど。

今回は、測量の依頼を受けるときに、どうのようなことに注意して土地家屋調査士が調査と測量をしているかまた依頼を受けているか、その注意点を5つのポイントをお話しします。

建築、不動産関連の仕事をされている方、土地家屋調査士の仕事に興味のある人には、役立つ情報になります。
ぜひ最後までご覧ください。

 

5つのポイントをお話します。

1つ目、どこまでの測量、境界確定か?
測量をする場合は、民々境界と道路境界をすべて確定するのが基本になります。
ただし、売買契約の内容によって、道路境界の確定を省略して民々境界だけを確定させるという場合もあります。
また、単純に境界を明示できれば良いということもあります。
すべての境界を立会確認するのが基本ですが、どこまで確定させるのかを確認します。
また、立会証明書や境界確認書の様式についても、買主さんに確認をしておきます。

2つ目は、前面が位置指定道路の場合は、その位置指定図面との整合性とれるかどうか。
位置指定図面に書かれている寸法は、3つです。
幅員、隅切り、延長です。
幅員が4.00mのときは、特に神経を使います。4.00mを1ミリでも、切らないように気をつけます。
建築の検査の際には、必ず幅員を測定します。図面上はもちろんですが、現地で幅員が確保できるようにします。
また、角地については、隅切り長も、位置指定図面と一致するようにします。隅切り長が、3.00mのときは、2.99mや3.05とかにならないよう注意します。
位置指定図面と整合性がとれないと建築確認申請の際に、疑義があるといことになる可能性があります。
位置指定道路の終端に、ついても位置指定図面の延長と一致しているか確認します。
測量の際には、位置指定図面を軽視しがちだと思いますが、建築確認申請の障害にならないように、しっかりとチェックする必要があります。

3つ目は、前面道路が、私道の場合は、「私道の通行、掘削」の承諾書が必要か確認します。
私道というのは、あくまでも他人の土地であったり、他人との共有の土地なんです。
上水道や下水道の工事で私道の掘削をしたり、通行に関しての承諾書です。

買い主さんによって、売買の条件として、この「私道の掘削、通行の承諾書」を求められることがあります。
もちろん、見積の提出時点、受託の時には、「私道の通行、掘削の承諾書」については、別途費用が必要なことを伝えておきます。

「私道の通行、掘削の承諾書」については、売主さんで取得する場合、不動産業者さんで取得する場合、土地家屋調査士が取得する場合がありますので、
確認が必要です。

4つ目は、越境物の調査です。
測量する際には、雨樋や庇、ブロック塀、エアコンの室外機などの隣地からの越境物がある場合には、越境物の測量や、「越境に関する覚書」が必要になることがあります。
越境物の調査や「越境に関するの覚書」が必要な場合は、もちろん別途費用が必要なことを伝えておきます。
「越境に関する覚書」を取得する場合には、その書式についても買主さんに事前に確認しておく必要があります。

5つ目は、測量する土地や隣地が路地状敷地の場合は幅に注意する
これは当然なんですけど、特に幅2.0メートルの場合は、必ず幅2メートル以上を確保できるように注意する。幅2.0メートル以上確保できないと再建築できないということになりますので注意が必要です。
幅2.0メートルというのは、2.0メートルの円が通れるという意味です。
測定誤差も考えると5ミリから10ミリくらいは余裕を持って幅2.0メートルを確保する配慮が必要だと思います。
また埼玉県条例では、路地状の長さによっても幅員が変わってきます。

長さ10メートル未満までは幅2.0メートル以上
長さ15メートル未満までは幅2.5メートル以上
長さ20メートル未満までは幅3.0メートル以上
長さ20メートル以上は幅4.0メートル以上でないと専用住宅以外建築ができないなどの制限があります。
このような地域のルールがあることもありますので、注意が必要です。

いずれにしても、地積測量図や建築概要書の路地状の幅員が確保できているか十分に注意します。

それでは振り返ります。
1つ目は、どこまでの測量、境界確定か?
道路境界まで確定が必要なのか?

2つ目は、前面が位置指定道路の場合は、その位置指定図面との整合性とれるかどうか。
位置指定図面の幅員、隅切り長、延長を確認しておくということです。

3つ目は、前面道路が、私道の場合は、「私道の通行、掘削」の承諾書が必要か確認します。
「私道の通行、掘削」が必要な場合には、書式等も買い主に確認をしておきます。

4つ目は、越境物の調査です。
隣地からの越境物がある場合には、「越境に関する覚書」を取得する必要があるかとその書式について確認が必要です。

5つ目は、測量する土地や隣地が路地状敷地の場合は幅に注意する
路地状の幅が確保できるかどうか十分確認して配慮する必要があります。

以上、測量の注意項目についてお話をしてきました。
参考にしていただけましたら、幸いです。