関わったらヤバい!地面師事件の特徴、手口を学んで自分の身を守る土地家屋調査士の心得

私の事務所も、最近はインターネットから、業務の依頼を受けることもあります。
いいことでは、あるんですけど依頼主がどういう相手か分からないというリスクもあります。

今回は、仕事で最も関わってはいけない相手、地面師の話をします。

地面師の手口と特徴を知ることで、地面師のリスクをある程度、回避できると思いますので良かったらお付き合いください。

地面師は、土地の所有者に成りすまして、他人の土地を担保に借り入れをしたり、売買の手付金を搾取したり、売買代金を横取りする不動産詐欺集団です。

 

まずは、その特徴です。
10人くらいのグループで、行動することが多いです。

ある程度、金額の大きい物件で、抵当権など他人の権利がついていない。
所有者がその近くに住んでいない不動産を狙うことが多いです。

印鑑証明書や、パスポート、運転免許証、権利証などを偽装して、本人に成り済まします。

印鑑証明書は、住所、氏名、印影などを特殊な液で消して違う氏名などを印刷します。
道具屋と言われるプロに依頼すると3枚で50万円という金額で本物とまったく見分けのつかない印鑑証明書が作れるようです。

また、本人の成り済ましが本物の印鑑証明書を持っているケースもあります。
偽造した身分証明書を役所に持ち込んで、印鑑登録の変更手続きをすれば成り済ましが本物の印鑑証明書と実印を持つことになります。
印鑑は、その印影さえ手に入ればかんたんに同じ印鑑をつくることができます。

古い権利証を偽造する技術もあるようです。
レモン汁をつけて日にさらすと、古い紙に見せられるようです。
またホチキスの針も古く見せる方法があるらしいです。

公証人による本人確認を利用することが多いです。
権利証や登記識別情報が紛失等で添付できない場合は、事前通知または有資格者代理人、公証人の本人確認が必要です。
偽造の権利証では法務許可局は、スルーできないので、比較的審査のゆるい公証人の本人確認を利用するケースが多いです。

犯罪者集団は、指の腹にマニュキュアをつけて指紋を残さないようにします。
書類を触っても、全く指紋が残らないそうです。
指のマニュキュアは、見て判断するのは難しいかも知れませんが、犯罪者の世界では、指のマニュキュアは一般的なようです。

地面師の中には、普段は普通に不動産業をしていて、取引がうまくいかなくなると地面師仕事に切り替えるという人もいるようです。
手付金持ち逃げとか、預かった書類で勝手に融資を受けるとか、二重売買とかでしょうか。
これはちょっと厄介ですね。

なりすまし役の人は面談を嫌います。
できるだけ決済ギリギリまで面談を避けます。

特に住所地や現地の面談を避けます。

取引は、銀行振込みではなく、現金、小切手を希望することが多いです。

また、見せ金をつくる技術もあります。
潰れそうな会社の手形、小切手を使って、銀行に入金します。
実際には、手形、小切手は不渡りになり現金化できないのでただの数字だけの預金残高ということになります。
ポン手とかクズ小切手とか言うらしいです。

振り返ります。
地面師は、10人くらいのグループで動く、抵当権なし、所有者が近くに住んでない物件を狙う。

印鑑証明書、身分証明書を偽造し、それを見破るのは困難です。

審査のゆるい公証人の本人確認を利用することが多い。

指の腹にマニキュアをつける。

面談を嫌います。特に住所地を嫌います。

ここから対策です。
必要書類の授受は、レターパックで住所地に送って返信してもらうようにする。
住所地や現地での面談を求める。
所有者なら知っている質問をする。
生年月日、年齢、干支、不動産を取得した経緯、親の名前、自宅の電話番号など。
本人確認書類の提出を求める
実印の押印、印鑑証明書、身分証明書。

これらを組み合わせることで、地面師事件との関わりを避けることができるかも知れません。

ヤバい人、ヤバい案件にかかわらないようにしっかりと注意して行きたいものです。