建物を新築したときの建物表題登記と所有権保存登記は何が違うのか?

建物を新築したときの登記手続きは、建物表題登記と所有権保存の登記というのがあります。

銀行の融資を受けずに建物を建築されたお客様には、建物の表題登記、所有権の保存登記をするかしないかということを選択することになります。

ちなみに融資を受けて抵当権を設定する場合には必ず表題登記、保存登記はすることになります。

今回は、その建物の表題登記と所有権の保存登記は、どのような登記なのか?
それぞれ登記する必要があるのか?
登記した場合のメリット、デメリットについてお話しします。

興味のある方は、最後までご覧ください。

まず登記記録の構成から話します。
構成は、3部構成です。

表題部、甲区、乙区です。

必ず、表題部→甲区→乙区の順番で開設されます。

表題部がないのに、先に甲区または乙区が開設されることは原則ありません。

表題部というのは、表紙のようなもので、不動産の表示に関することが登記されます。
新築された建物の所在、種類、構造、床面積、所有者の住所、氏名が記載されます。

建物の表題登記をするとこの表題部が開設されます。

次に、甲区は、所有権に関することが記載されます。
所有権保存登記をすると、この甲区に所有者の住所と氏名、受付年月日、受付番号、登記の目的として「所有権保存」と記載されます。

保存登記が完了すると登記識別情報といって、12桁の英数字を組み合わせたパスワードが交付されます。
昔で言う登記済権利証書がこれにあたります。

そして、乙区には抵当権などの所有権以外の権利に関する事項が登記されます。

繰り返しますが、
表題部は、表紙のようなものでその不動産を特定するための表示に関する事項建物の現況が記載されます。

甲区には、所有権に関することが記載されます。

乙区には、抵当権などの所有権以外の権利に関することが記載されます。

登記記録が作られる順番は必ず、表題部→甲区→乙区の順番です。

なので、銀行で借り入れをする場合は、乙区の抵当権設定登記をするので、
必ず表題部をつくる建物表題登記と甲区をつくる所有権保存登記をすることになります。

建物の表題登記は、始めて登記記録がされる登記でこの登記をすると、表題部の登記記録が開設されます。
表題部には、建物の所在、種類、構造、床面積、新築の年月日、所有者の
住所氏名が登記されます。
この建物の表題登記の手続きでは、登記識別情報は、交付されません。
法的に申請義務は、一応あります。
建物の新築後、1ヶ月以内に申請をしないと10万円以下の過料に処される罰則があります。
申請書に添付する書面は、
個人の場合は住民票、建築確認済証、工事した人の証明書・印鑑証明書、検査済証、工事請負契約書などが上げられます。
建物の表題登記は、土地家屋調査士が代理して行う業務です。

所有権の保存登記は、建物の表題登記がされたあとに、登記記録の甲区に記録がされます。
所有権者の住所、氏名、受付年月日、受付番号、登記の目的として「所有権保存」と記載されます。
保存登記をすると、登記識別情報が交付されます。
保存登記には、法的に申請義務はありません。
申請書に添付する書面は、
個人の場合は住民票、
住宅の場合は住宅用家屋証明書この書面は市区町村の役所で取得できます。

所有権の保存登記は、土地家屋調査士ではなく、司法書士が代理して行う業務です。

所有権保存登記の添付書面が簡易で、実印の押印、印鑑証明書の添付が不要であるために、所有者本人以外が申請して登記識別情報を取得するリスクを指摘する人もいます。

建物表題登記と所有権の保存登記は、同時には出来ません。
表題登記が終わったら、保存登記という流れになります。

借地の場合は、建物の登記をすることによって第三者の対抗要件があるとされています。
地主AさんがBさんに所有権を譲渡した場合は、登記がないと借地権をBさんに対抗できません。
この対抗要件は、建物表題登記で足りるとされていて、所有権保存登記までは必要ないとされています。

固定資産税は、登記をすると課税する市区町村の担当課に通知をするので必ず課税されます。
登記をしない場合でも、課税の担当課は独自で調査するので原則は課税されます。
ただし、まれに課税が漏れることもあるようです。

銀行の融資を受けない場合には、建物の表題登記、所有権の保存登記は、やることもあるし、やらないケースもあります。

今日の話を参考に、登記をするか、それともしないのか、ご判断いただければと思います。