【建物の種類を居宅にできる場合】住宅ローンと不動産登記を土地家屋調査士が解説します

建物の登記される事項で「種類」があるんですけど、
建物の種類で相談を受けるそのほとんどが、
中古で建物を売買をするのに、購入者が住宅ローンを使う。

そのために建物の種類を「居宅」に変更したいというものです。

今回は、建物の種類のうち「居宅」についてお話をします。

 

まず、住宅ローンについてです。
例えば、店舗併用住宅の場合は、住宅部分の面積の割合が半分以上であれば、住宅部分については住宅ローンを使えます。
店舗部分については、事業用ローンであったり、住宅ローンに組み込んだりと、対応は金融機関によって違うようです。

お金を融資する側からすると、建物全部を住宅として利用するのであれば建物の種類を「居宅」として登記をしてください。
店舗併用住宅であれば、利用する状況にあわせて、「店舗・居宅」と登記してくださいという話になります。

それでは「居宅」の登記のお話をします。

3世帯が住む住宅の場合です。
親、子、孫がそれぞれ1階、2階、3階に住む場合で、玄関、廊下などはそれぞれ独立している場合です。
「共同住宅」で登記することもできるし、「居宅」で登記することもできるということになります。
親、子、孫がそれぞれが同一生計とみなすこともできるからです。
親、子の2世帯の場合も同じです。
仮に一部を他人に貸した場合には、同一生計とは言えないので、「共同住宅」となります。

「居宅・共同住宅」という種類は可能か?
賃貸住宅の一部に所有者の住居にして、その他の部分を賃貸住宅として運用する場合には「居宅・共同住宅」という種類で登記します。
これについては、根拠の文献は見つけられませんでしたが、実務経験上は「居宅・共同住宅」は可能であるということになります。
共同住宅は居宅の集合したものと考えればおかしな感じはしますけど、「居宅・共同住宅」として登記できるということです。

ビルトインガレージがある場合の種類は?
「居宅・車庫」にしなければ行けないかということです。
車庫部分が建物全体の床面積と比較して少ない。
また車庫部分は、居住の用で使っている場合は、全体を「居宅」とするということになります。
駐車場を貸していたり、タクシーなどの事業に使用ていると「居宅・車庫」の扱いになります。

別荘の種類です。
別荘は、居住に使うものは「居宅」として登記をします。
会社などの厚生施設は「保養所」として登記します。

住宅用家屋証明についても解説をしておきます。
個人が要件を満たした自分で住む住宅用の家屋を新築又は取得した場合に適用されます。
所有権の保存登記や抵当権設定登記などの登録免許税の税率の軽減措置が受けられます。
この軽減措置を受けるために住宅用家屋証明が必要になります。
個人が、新築した家屋の場合は新築後1年以内、
建築後使用されたことのない家屋(建売住宅・分譲マンション)又は建築後使用されたことのある家屋(中古住宅)の場合は取得後1年以内に登記を受けるものであること。

要件は次のとおりです。
新築又は取得した者が自己の居住の用に供する家屋であること。
住民票の住所を移すことが必要です。
家屋の床面積が50平方メートル以上であること。
事務所、店舗等の併用住宅の場合は、床面積の90パーセントを超える部分が居宅であること。
家屋の建築後の年数が、木造及び軽量鉄骨造では建築後20年以内、
鉄筋コンクリート、鉄骨、鉄骨鉄筋コンクリート造等では建築後25年以内であること。
又、中古住宅の取得原因が売買又は競落であること。

私が行った建物の種類変更の事例を紹介します。
土地と中古建物の売買です。
建物は「診療所・居宅」として登記をされていて、
1階が歯科医院で、すでに廃業しているが、治療用の椅子、機材が残っている状況でした。
2階、3階は歯科医院のオーナーが居宅として利用していた状況でした。

このような場合は、売買代金の決済後に買主さんがリフォームをして実際に1階、2階、3階を居宅として利用してから、
「診療所・居宅」→「居宅」に変更するのが望ましいと思います。
実際にその流れで種類変更の登記をすることもあります。

このときは、売買代金の決済前に売り主の申請で、「診療所・居宅」→「居宅」に変更するという依頼でした。
現地の状況を見れば、歯科医院は廃業していることは分かるのですが、
ただ、歯科医院の看板はそのまま設置されいる状態で、治療機材なども、そのまま残っている状態でした。
売り主である依頼者に対しては、
「客観的に見て、住居として使用できる状態でないと居宅への種類変更はできません。」
「歯科医院の看板を外して、歯科医院の機材などはすべて撤去してください。それを確認してから申請します。」
ということで、状況を確認して、
上申書(歯科医院は廃業して、居宅として使用する旨の書面)を提出して種類変更の申請をしました。

以上、建物の種類「居宅」について説明をしました。

建物の種類の変更登記などが必要でしたら、土地家屋調査士にご相談ください。