士業は小さい事務所で儲けなさい

私の事務所は、2001年に木造アパートの1室で、1人で初年度700万円の売上でスタートしました。
そしてピークのときには、補助者が3人いて売上4500万円という状態です。
土地家屋調査士事務所としては、上位10%くらいに入る事務所でした。

今現在はどうかと言うと、ピーク時より売上はだいぶ少なくて、家族運営でそこそこ稼がせてもらってるというところです。
長く事務所を運営してきた中で、今の状態がベストだと思っています。
今回は、士業は小さい事務所で儲けなさいという話をします。

動画を見ていただければ、なぜ士業は小さい事務所がいいのかがわかります。
ぜひご覧ください。

 

なぜ士業は小さい事務所がいいのか3つのポイントでお話します。
1つ目は、雑用がほぼなくなった
2つ目は、人は思ったよりも働かない
3つ目は、管理できるのは売上3000万円まで

それでは、
1つ目は、雑用がほぼなくなった
これは時代の流れです。
昔は、登記を申請するために、
法務局に行って調査する。
法務局に登記の申請書を持っていく。
法務局に登記済証(完了証)を受領しに行く。
一つの登記を完了させるために、何度も法務局に行かなければならない。
つまり事務所の雑用が多かったんです。
その雑用をこなすためにどうしても事務所に人員が必要だったんです。

ところが今は、オンライン化と機器の発展でほぼ雑用はなくなりました。

登記関係の調査は、インターネットですることができます。
申請もオンライン申請です。
登記完了証や添付書面の原本還付も郵送で送ってもらえます。
そうすると1度も、法務局に行くこともなく、調査、登記申請、受領が完了します。

昔は、土地家屋調査士の先生が申請書を手書きして、
それを今はなきワードプロセッサー(ワープロ)というもので打ち込む作業をしていました。
調査士の先生が汚い字で申請書を手書きする。
それを補助者が解読して、ワープロに打ち込む。
すると先生に「ここ間違ってるよ。」と言われて
「オメーの字が汚くて読めねーんだよ・・・・。」と思いながら言えないというのを繰り返して、
申請書が出来上がるというやり取りがあったわけです。
今は、どうかというと手書きをする時間があればそのままパソコンで打ち込んだほうが早いということになります。

測量でも昔は、野帳(鳥のではなくて帳面の野帳)に手書きで観測角と距離を書いて、
それをコンピュータで入力する作業がありました。
それで間違えると先輩社員にしょんべんチビるくらい怒られるということがあったんだけど、
今は、測量するとデータが電子野帳に自動的にインプットされて、そのデータをパソコンに流すだけです。

昔は、こうした雑務をやりながら、少しづつ仕事を覚えてもらうというプロセスがありました。
今はほとんど、雑務がなくなっちゃたんですよ。

そうなると事務所の仕事というのは、ある程度の知識、経験、思考力がないとできない仕事がほとんどになる。
つまり、未経験の人を入れると、ほぼやらせる仕事がない。
大半の時間を上司が仕事を教えることに費やすことになる。
忙しいのに人を入れても、かえって時間がなくなるという現象がおこる。

事務所の補助者を増員しても、ものすごい時間と労力を使って成長してもらうまでは、
かえって時間を奪われてしまうということになる。

 

2つ目は、人は思ったよりも働かない
日本人が勤勉というのはウソです。
日本の一人あたりのGDPが世界23位のどこが勤勉なのかという話です。
日本人が勤勉というのはもう昔の話であって、今は一部の勤勉な人と大半のなまけ者というのが現実です。

私のマネジメント能力の低さもありますが、
人を入れても生産性が上がらないというのはシステムの問題です。

会社というのは、一部の人がたくさん利益を出して、それを働かないに人に分配するというシステムです。
そして働いても働かなくても、それほど給料が変わらないということになります。
そうなると大半の人は、楽なほうに行きます。
どうなるかというと働かなくなります。
一部のバリバリ働く人は、独立するか給与の高い会社に移る。
そして働かない人だけが、長く会社に残るという状況になるんです。

給与を出来高制にするという方法もあるんだけど、
測量チームなど複数人で一つの仕事進めていくような場合はどう計算するのか、
測量と登記など業務内容によって出来高の上がり方も違う。
基本的にはかんたんな仕事は出来高が上がりやすいし、
難易度の高い仕事は出来高が上がりにくい傾向があります。

どう出来高を配分していくのか、これまた難しいです。
また出来高制にすると事務所内で、他の人に協力しなくなったり、チームワークが悪くなったり、
出来高制による弊害も起こります。

正直、私も補助者のときにはそんなに一生懸命仕事をしていたわけでもない。
忙しいと嫌だなと思いながら働いていていました。
ある種、この話はブーメランなのかという感じもします。

でも、やる気がないけど辞めないという人の事務所に与えるダメージというのが大きい。
本当にどうしょうもないときには、
直接、「辞めてほしいと」いうこともあるし、辞めていただくように誘導することもある。

働かない人には、本人なりの働かない理由があると思うんですけど
ほとんどの場合は、他責思考であり、甘えであり、単なるなまけなんです。
こちらからするとやる気のない人は、事務所にいてもらっては困ります。

でも、辞めてもらうというのは今の法律では非常に難しいというところがあります。

結論としては人は雇わずに家族運営にするのがベストということになりました。

 

 

3つ目は、管理できるのは売上3000万円まで

ピーク時の売上4500万円のときは、業務を把握しきれないところがありました。
自分一人で、細かいところまで把握できるのは売上3000万円が限界です。

土地家屋調査士は、それでも「その仕事は担当に任せてますので、担当に確認します。」とかは言えない
これは法律で「土地家屋調査士は補助者に包括的に業務をさせてはならない」とういうのがある。
担当者を信頼して任せてます。
というためには土地家屋調査士法人にして土地家屋調査士を雇って、「担当の土地家屋調査士に任せてます」という必要がある

法人で大きくやるか、個人で小さくやるかという選択になるんだけど、
私の場合は、小さい事務所がストレスが少なくていいです。

突然〇〇ショックみたいな外的な要因で、売上が半分になるなんて普通にあります。
そういうときに大きい事務所の代表なんてやってたら、よる眠れないです。
小さい事務所であれば、売上が半分というのは痛いけど、よる眠れないほどではない。

基本的には、重要な部分は土地家屋調査士本人がやることになります。
それは法令上そのとおりなんだけど、
問題なのは、40歳、50歳の大人に、ほぼ雑用なような仕事をやらせるのかという話です。
いい大人に、バイトでもできるような仕事をしてもらう。
当然、年齢相応の給料を払わないと補助者は生活できないというゆがみができてしまう。

自分の把握できるキャパ以上に売上を伸ばすと、わからないところで問題が発生する。
そして懲戒処分のリスクが出てきます。

私も2回、綱紀委員会に呼ばれて事情聴取されたことがあるんですけど、
綱紀委員3人に囲まれて、激ヅメされました。
「補助者がやらかしちゃった」とか絶対に言えないです。
結果的に2回とも、懲戒処分にはなっていませんけど、懲戒リスクはめちゃくちゃ怖いです。
懲戒になった旨は実名で公表されるし、業務停止処分になったらお客さんはみんな離れます。

じゃあ、依頼が自分のキャパを超えたらどうするのかですけど、
・外部に委託できるものは委託する
会計業務なんかは、領収書をクリップで止めて送るだけ。
あとは税理士さんに丸投げです。
外に任せられることは、すべて外部に委託する。
もちろんお金はかかりますけど、その分の時間は確保できます。

・他の土地家屋調査士を紹介
遠い現場なんかだとその近くの土地家屋調査士を紹介する。
信頼できる土地家屋調査士を紹介します。
その分、事務所の売上は減りますけど、結果的に感謝されるし、また仕事で戻ってくることもあります。

・仕事を断る
報酬の安い仕事、納期の短い仕事、横柄なお客さんの仕事は断ります。
結果的には、いい仕事、いいお客さんだけが残って、
事務所の環境が良くなるということになります。
事務所の売上がキャパオーバーになったら、それは報酬額を上げるタイミングでもあります。

事務所を大きくするのか、あるいは小さな事務所で稼ぐのか、
もちろん、その人の性格、マネジメント能力、生き方もありますけど
私の場合は、事務所の規模は小さくして自分で把握できる規模で運営する。

士業は小さな事務所で儲けるというのがベストです。

以上、なぜ士業は小さい事務所がいい3つの理由をお話しました。
1つ目は、雑用がほぼなくなった
2つ目は、人は思ったよりも働かない
3つ目は、管理できるのは売上3000万円まで

 

Q&A
最後に視聴者さんの質問に答えます。
0210 takaさんの質問です。
Q:
土地家屋調査士で独立した場合、一般的にお客さんは、工務店や不動産屋さんになるのでしょうか。
そういう所は、とれれば安定しますが、既存の土地家屋調査士もいて、新規に入り込むのは難しい様にも思いますがどうでしょうか。
また、業者を通さず、個人からの依頼は何割ぐらいありますか。

A:
お客様で多いのは、不動産業者さんです。
つづいて、工務店さん、司法書士さん、銀行さん、税理士さん、不動産鑑定士さんということになります。
既存の土地家屋調査士がいて新規に入るのは難しいかですが、
お客様もずっと同じ土地家屋調査士に依頼することもあるし、どこかのタイミングで土地家屋調査士を変えることもあります。
既存の土地家屋調査士に不満があったり、ミスをしたり、あるいは廃業する。
どこかのタイミングで調査士が変わるので根気よくアプローチしていればどこかでチャンスがきます。

個人から直接依頼を受けるのは、10%程度です。
ほとんどの場合は、不動産業者さんなどから紹介されて依頼を受けることになります。
大手ハウスメーカーとつながることで、1社から大量の仕事を受託することができます。
しかし価格競争もありますし、社内政治に巻き込まれることもあるし、ハウスメーカーさんについては、私はあまり積極的ではありません。

あとは安定をさせるためには、バランスが大切です。
1社からの売上構成比が20%を超えないようにしています。
1社からの売上が大きくなりすぎると、
まず仕事が来なくなったときのリスクが大きいのと
つぎに依頼者との関係が主従の関係になりやすい。

依頼者と土地家屋調査士の関係は、
依頼人が支払うお金と土地家屋調査士の知識、技能、サービスを交換するものです。
つまり依頼人と土地家屋調査士はつねに対等の立場にあるということになります。
これはどの商売でも共通なことです。
お客様は神様ではなく人間です。

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