成年後見制度って何だろう?土地家屋調査士の後見人との関わり

自分の家族が認知症になったり判断能力がなくなった場合に、預金や不動産の処分はできるんだろうか?
あるいは自分の判断能力が怪しくなったら周りに迷惑をかけるんじゃないか心配ですよね。

今回は成年後見制度の話です。

成年後見制度の利用者は年々増えています。
2019年では、約22万人が成年後見制度を利用していると言われています。

ただし判断能力が不十分だとされる人、成年後見制度必要な人が、推定で800万人から900万人くらいはいると言われています。
なので成年後見制度を利用しているのは、全体からすると、まだ利用者はわずかということになります。

今回の動画を見ていただければ、成年後見制度とはどんな制度なのか、
自信が老後の準備としてどうすれば良いのか、親が判断能力がなくった場合の対処が分かります。
ぜひ最後までご覧ください。

それでは成年後見制度の3つのポイントをお話します。

1つ目は、成年後見制度の概要
2つ目は、成年後見人の権限
3つ目は、任意後見人制度について

それでは、
1つ目は、成年後見制度の概要
認知症などで判断能力がなくなった場合には、預金の払い戻しや不動産の売却をすることはできません。
そのために成年後見制度を利用することになります。
成年後見制度は、大きく分けて2つあります。
法定後見制度と任意後見制度です。
法定後見は、すでに判断能力が不十分な場合に、家庭裁判所が選んだ後見人が支援する法定後見制度です。
本人、4親等内の親族(いとこまで)、市町村長等が申立ができる。
1親等(親と子)、2親等(配偶者、祖父母、孫)その先の4親等(いとこ)までの親族が申立ができます。

法定後見については、判断能力の不十分な状態に応じて、
症状の重い順に、後見⇒保佐⇒補助となります。
後見は判断能力を欠くという常況です。
保佐は判断能力が著しく不十分にある常況です。
補助は判断能力が不十分にあるとなります。
後見の割合が8割程度です。残り2割が保佐人、補助人ということになります。

成年後見人に専任される割合です。
親族が成年後見人等に選任される割合は年々低くなっています。
2019年では、親族が21.8%、親族以外が78.2%となっています。
親族の場合は、被後見人(本人)の行う法律行為が後見人等と利益相反になりやすい。
トラブルになりやすいということで、親族以外が後見人に選ばれることが多くなっているということです。

親族以外の成年後見人としては、
司法書士が33.7%、弁護士27.7%、社会福祉士18.4%が上位の第三者による後見人となっています。
外部の専門家が法定後見人になる場合は、費用がかかります。
行った仕事の内容によって家庭裁判所が判断します。
おおよそ月2万円から3万円程度の費用がかかります。
基本的には、被後見人(本人)が亡くなるまで費用がかかり続けますので、結構大きい負担となります。
一度、後見人が選任されると合わない人であっても、違う人に変えるということはできません。

任意後見は、将来判断能力がなくなったときに備えて、あらかじめ支援してほしい人を公正証書の契約で決めておく任意後見制度です。
できるだけ法定後見制度ではなく、任意後見をおすすめします。
最後のほうに任意後見制度について詳しくお話します。

2つ目は、成年後見人、保佐人、補助人の権限
後見人の役割は、資産を増やすことではなく資産を守ることであります。
合理的な理由がない限りは、不動産を売ることはできません。
合理的な理由としては、不動産を売って施設に入りたいという場合が当たります。

さらに本人の居住用の不動産を処分する場合は、家庭裁判所の許可が必要である。
これは被後見人(本人)にとって、非常に重要な行為を行うということになりますので、
後見人の判断だけではなく、家庭裁判所の許可が必要ということになります。

成年後見人の権限です。
成年後見人は、被後見人(本人)の財産に関する行為(預金管理や支払い、介護保険等)を本人に変わって行うことができます。
具体的には、本人の代わりに財産を管理して本人のために使っていくこと。
介護契約、施設入所・病院の入院手続きなどを本人に代わって行うこと。
被後見人(本人)が行った契約は取り消すことができます。
成年後見人の同意を得て、本人が行った行為も取り消すことができるということになります。

後見人は代理権があるということです。
保佐人、補助人は代理権はなく、同意権があるということになります。
保佐人、補助人の同意が必要な法律行為を同意無しで被後見人(本人)がした場合には、取り消すことができるということになります。

3つ目は、任意後見制度について
任意後見制度が今回、一番お伝えしたかった内容です。
ぜひ判断能力があるうちに任意後見制度を利用することをおすすめします。

法定後見人制度は、家庭裁判所が後見人等を選任するので、
自分の希望する人に後見人になってもらうことができない場合がほとんどです。

任意後見人制度は、自身の判断能力がある間に、後見人になってくれる人と公正証書で契約書を作成します。
その後、後見人が法務局に後見登記をする。

法定後見人は家族から選定するのはかなり難しいということになります。
任意後見人は、自分の家族や信頼できる人を後見人にすることができます。
任意後見の場合は、破産者など後見人にふさわくないと判断される場合以外は、
ほとんど任意後見人として選んだ人が指定されることになります。

法定後見人は、専門家が選任されることが多いので、毎月2万円から3万円程度の費用が被後見人(本人)が亡くなるまでかかり続けます。
ちなみに認知症になるとストレスが無くなって、長生きする傾向にあるらしいです。
任意後見人の場合は、親族が後見人になることが多いので、無償で後見を行うことが多いです。
ただし後見監督人という後見人を監督する役割の人に報酬が多少かかるということになります。

任意後見の開始の話です。
本人の判断能力が衰えて不十分になる。
任意後見の受任者が、任意後見監督人の選任を家庭裁判所に申し立てます。
その後、任意後見監督人が選任されて、任意後見が開始されます。
任意後見監督人は、任意後見人が不正や権限乱用をしないように監督するのが役割です。

任意後見人の権限です。
契約で諸々の代理権を与えることができます。
ここに被後見人(本人)の意思を反映させます。
代理権の具体例です。
財産管理についてです。
すべての財産の保存、管理、処分、銀行等との取引、年金など定期的な収入の受領があります。
身上監護についてです。
医療契約、入退院契約、介護契約、福祉施設の入退所契約、要介護認定の申請、認定等に関する事項

任意後見人には、被後見人(本人)が行った行為についての取消権がありません。

任意後見制度は、判断能力がなくなってからでは、利用することはできません。
公証人役場で申請する際には、判断能力も審査されます。
しっかりとした判断能力があるうちに、この任意後見制度を利用する必要があります。

任意後見制度が利用できなくなりますと、法定後見制度となります。
法定後見ではなく任意後見をおすすめします。
判断能力があるうちにご検討いただければと思います。

 

以上、参考にしていただければ幸いです。